▼書評『日本への警告ジム・ロジャーズ-米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』

日本への警告日本への警告ジム・ロジャーズ-米中朝鮮半島から人とお金の動きを見抜く

取材・翻訳 小里 博栄
出版社 講談社
発行 2019  07/18







変化の触媒を見逃すな!!世の中の変化の触媒をつかみ、歴史上これまでに起きてきた変化を照らし合わせることで、未来を予測することは可能だ!!ジム・ロジャーズ氏

香港デモ、北朝鮮によるミサイル発射、日韓関係の悪化、さらには米中の貿易戦争と天才・冒険投資家は世界をどのように鑑みているのか知りたく、小職は本書を手にした次第です。氏は、過去にBMWのバイクで6大陸横断、特注ベンツで116ヵ国を旅した、現地、現場、現実を重んじる天才・冒険投資家です。あのジョージ・ソロスとクォンタム・ファンドを設立し、投資の世界を齧った方であれば、泣く子も黙る人物です。

たとえば、氏は遠くない未来に北朝鮮と韓国の統一は起きると断言しています。そうなると、北朝鮮が経済開放され、真っ先に反響が起きるのは、ツーリズム。何しろ70年間も北朝鮮は閉鎖されていた。だから氏は、「大韓航空」の株式を買ったと。歴史まれにみる日韓関係の悪化でもしかすると、本当に「買い!!」かも知れません。さらには、ボクの希望では、軍事境界線は「世界自然遺産」に指定できるほど、自然が豊かだといいますから、東アジアとりわけ、北朝鮮から目が離せません。韓国も子どもを増やすチャンスです。南北統一は、朝鮮半島の成長が見込める世界でも稀な地域なのです。

翻って我が国・日本です。超高齢化社会と少子化の問題が最大のポイントです。世界を旅した氏によれば、世界一美味しいイタリア料理は現在、日本で食べられるとのこと。実は、本書によれば日本のパスポート保有率(2017年)は22.8%、アメリカのそれは42%を踏まえると、日本のパスポートならビザなしで入国できる国の数が189ヵ国もあるのだから、内向き志向ではなく、外向きならなかえればいけないとも。そのためには、我が国は移民を受け入れる体制を整えなければなりません。

さらには、超大国・中国について触れないわけにはいきません。2016年の科学技術学科の卒業生数は、中国人のそれは、アメリカの8.2倍、日本の24倍も世に送りしているのです。19世紀はイギリス、20世紀はアメリカの世紀でした。21世紀は超大国・中国です。中国は史上何度も世界の頂点に立ってきた唯一の国です。氏いわく、中国人こそが最も優秀な資本主義者だったというのです。

それに伴い、覇権国家は近隣国を支配するとも。だからこそ、氏のお子さんには中国語を学ばせた。今後、我が国は中国による影響がさらに高まることは間違いないようです。そして、米中の貿易戦争が大規模な貿易戦争と化せば、影響は世界に波及し、投資意欲が減退し、世界の景気は急速に悪化するとも。

最後に、金融業界に長く身を置き、37歳で第一線を退いた氏ですが、今後数十年で、金融業界は悲惨な状況に陥るそうです。よって、金融の時代から⇒実物経済に移行すると。また氏は、日本人が農業をすれば成功できると考える背景として、さらには、日本の農業従事者の平均年齢は、68歳と高齢で、担い手さえ見つかれば、競争がない日本の農業には明るい未来が待っていると断言しています。

あなたが日本に暮らす10歳の子どもだとしたら、先行きの見えない日本の大企業や公務員を目指すのではなく、農業をやることを真剣に考えたほうがいい

とも。
金融の時代から実物経済へ。本当にニクソンショック級の穀物マーケットの再来があるかも知れません。小職にとっては、学ぶべき学問は「地球物理学」に「気象変動学」です。

ちなみに、氏の情報源はその国の歴史を学び、旅をし、さらには愛読紙はFT(フィナンシャルタイムズ)だとか。テレビもなし、長いこと自家用車も保有していなかったらしい。生き方の価値観かも知れないが、貯金をし、歴史を学び、旅をする。まさに、自己変容の旅をすることに尽きるかもしれません。「情報弱者」なる言葉がありますが、小さな変化の触媒をつかみ、日々その積み重ねの大切さを著者は訴えていると思います。

東アジアは、今後世界的にも最も重要な地域のひとつです。
気になった方は、ぜひ、本書を手に取って下さいませ。