▼書評 『TRUST-世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか』

TRUSTTRUST-世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか

著者 レイチェル・ボッツマン
訳者 関 美和
出版社 日経BP社
発行 2018 07/24





《社会に欠かすことのできない信頼!!》
《信頼とは期待に対する自信である》
はじめに・・米スタンフォード大が、AI(人工知能)がもたらす人や社会への影響を研究する新組織を立ち上げたそうです。その新組織は「ヒューマン・センタードAI(HAI)」といいます。マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏はAIについて「有望であり危険。原子力にようなもの」、「性能を維持しつつも説明責任を果たせるような技術でないといけない」と発言し、グーグルのAI部門のTOPジェフ・リー氏は「(社会に普及している)技術の作りてとしては我々は高い倫理が求められる」と発言しました。自動運転車の記事が紙面などに踊るようになりましたが、それに対する〈信頼〉は前述にお二方の発言がまさにピッタリと合致するのではないでしょうか。

たとえば、輸送に対する〈信頼〉は次にように飛躍してきました。荷馬車⇒列車⇒車⇒飛行機⇒ライドシェア⇒自動運転車⇒〈未知のもの〉と。さてさて、本書の著者は9年前に『シェア』=『共有消費』で、タイムズ̪誌により世界を変える10のアイデアに選ばれ、2013年には世界経済フォーラムにより「ヤング・グローバル・リーダー」にも選出された人物です。

アリババ、ウーバー、エアビーアンドビー社などを引合いに出しながら、非常にテンポの良い筆致で描かれておりますので、肩ひじ張らずに読めるビジネス本でもあります。実際、2016年の世界経済フォーラムで現代社会に最大のリスクのひとつにあげられるほど、オンラインで世界中に拡散される誤報(フェイクニュース)と炎上が問題になるなど、今〈信頼〉が揺らいでいます。また、ボク達の生活にはほぼすべての取引には、おのずと信頼の要素が存在し、一定期間取引が継続する場合には信頼が存在するのです。テクノロジーがより良い選択や意外な選択を助けてくれるにしろ、自分たちの信頼をどこに置き、誰が信頼に値するかを最後に決めるのはボク達自身であるとことは間違いありません。

EUの「忘れられる権利」法案に関するグーグルの諮問員会に参加する唯一の倫理学者、ルチアーノ・フロリディ教授は次にように述べています。3つの重大な「脱中心社会への転換」が、人間の自己理解を変えてきた。①コペルニクスの天動説、②ダーウィンの自然淘汰、③人間の日々の行動は無意識によって支配されるとしたフロイト説、そして、現在オンラインとオフラインの生活がひとつになった「オンライフ」です。その典型が「フェイスブック」であり「ツイッター」です。ツイッター利用者の多くが中身を読まずにニュースをリツイートし、ツイッターでシェアされたリンクのうち59%は、実際には開かれておりませんでした。これこそ典型的な現代の情報消費に形であり、要約の要約を見て意見が形成されるいます。

また、本書の第六章には「闇取引の評判がすべて」で記述されておりますが、誰でもアマゾンで買い物をされる方はチェックするはずです。そう「レビュー」です。。現在偽レビューを見つけて排除するための機械学習システムが開発されつつあり、シカゴのホテルへの800件のレビューを検査したところ、ほぼ9割の確率で偽レビューを検知できたそうです。評価する人が評価される時代ということですね。

その最たるシステムが、中国です。中国の国民格付け制度は、ボク達の社会も近づいているかも知れません。信用の格付けが人生への格付けへと広がっているかもしれないのです。写真、本、音楽、映画、友達付き合い、そしてお金もデジタル化され、今

人格と評判がデジタル化される初期の段階に、わたしたちはいる

と著者は述べています。なお、中国の国民格付け制度は、全国的には2020年を目指し導入されるもの。具体的には何が格付けされるのか??信用履歴、履行能力、個人的な特徴、行動と嗜好、人間関係などです。評判がデジタル化され、その評判の友達や今度はその評判も評価される。そんな時代に生きているのですね。ボク達は。。

では、著者が唱える信頼性の三つの要素とは有能さ、頼りがい、正直さ

であると。ボクはこれからの「ブロックチェーン」の時代に入り、この正直さ又は倫理に非常に興味があります。何故ならブロックチェーンの目的は、①分散台帳の管理、②P2P(中央権力が存在しない)、③記録の書き換えができない、④透明性と匿名性だからです。ブロックチェーンの〈信頼〉については本書の第9・10章をご一読下さいませ。

とはいえ、その新しい発想に人々が信頼を寄せるようになるには次の3つの原則があります。

①カリフォルニアロールの原則、②メリットの原則、③信頼のインフルエンサーの原則です。

①カリフォルニアロールの原則というのは、寿司職人の真下氏が考案したことで、お寿司を外側に米が見えて内側に海苔のある「裏巻き」にした方が見た目的にアメリカ人の好みに合うことに気付いた点です。この原則は専門用語では「単純接触効果」、「熟知性の法則」と呼ばれるそうです。

つまり人の思考は、はっきりと体系化され定義付けられた構造に従っているということ。人間が新しい何かを理解するには、見慣れた構造やある種のシステムが必要である と。

これを実現したのが、スティーブ・ジョブズであり、エアビーアンドビー社なのです。

話は前後しますが、「ブロックチェーン」の仕組みというのは、ダイヤモンドの取引、ボク達が常飲しているお薬まで詳細が明らかになり、簡潔型社会において歴史的な仕組みだと本書を読了して感じました。

冒頭でも記しましたが、AIに対する〈信頼〉はどう築きあげられるのか??本書は間違いなく一読の価値があります。是非皆さんも手に取って下さいませ。