▼書評 『日本人の9割が知らない遺伝の真実』
日本人の9割が知らない遺伝の真実
著者 安藤 寿康
出版社 SBクリエイティブ
発行 2016 12/15
《家柄のいい男、才能がありそうな男、結婚するならどっち??》
本書の趣旨は、2つ。まずは、「行動遺伝学」の正しい知識を身に着け、「わたし力」を伸ばそう!!、さらには、小さな教育改革と大きな教育改革を実行しよう!!というものです。
知識など,どの才能も遺伝するのでしょう!!とお思いの方も多いと思います。それをどう行動に生かのか?難しいものがあります。収入と遺伝との関係は?英才教育って本当に効果があるの?勉強しても無駄なのか??etc..
勿論、遺伝が関与しているのは紛れもない事実です。そうであるならば、遺伝的素養を生かす社会を作るために、「行動遺伝学」の知見を正しく身に着けておかねばなりません。かつては、あのチャールズ・ダーウィンの親戚のフランシス・ゴールドトンは「天才や才能を持ったものは遺伝する」と「優性学」で唱えたとも言われております。
まずは、性格です。知識と並んで重要な項目ですよね。人間の性格を表す5要素です。
現在では、ビック5(OCEAN)が主流と言われております。
①:経験の開放性、または好奇心の強さ
②:勤勉さ
③:外向性
④:協調性
⑤:情緒不安定性です。
ビック5は、世界中の心理学者が知能検査と同じように信頼性のあるものから導き出しましたが、このビック5の遺伝率は、30~50%といわれております。著者が考案した考え方に「カラープリンター理論」があります。性格も当然一人ひとり違い、シアン、マゼンタ、イエローなどと長所と短所があり、それを混ぜそこに一般知能という黒を加えるという考え方です。
では、一般知能はどれくらい遺伝するものなのでしょうか??一卵性双生児と二卵性双生児の比較から導き出されたのは、たとえば、青年期のIQの個人差は、遺伝54%、共有環境が19%、非共有環境が27%です。しかるに、約73%がホギャーと生まれその親の手育てらえる、いわば子どもとしてはどうしようもないところです。もっと言えば、遺伝+非共有環境により決まっているということも言えます。収入への遺伝の影響は、2~4割ほどといわれております。
では、冒頭の行動遺伝学から導き出された答えは、如何なるものになるのでしょうか?そこで、児童期、青年期、成人期に分けて知能に及ぼす〝遺伝〝と〝環境〝の影響をプロットしたところ、人間は年齢を重ねるさまざまな影響にさらされているうちに、遺伝的な素質が引き出され、本来の自分自身になっていくそうです。よって環境か?遺伝か?を問われると〝遺伝〝を選択したほうがベターということになります。
ボク個人としては、単純な足し合わせでない、遺伝の仕方で「非相加的遺伝」に興味を持ちました。例えば、進化の過程で一見不利になるような遺伝子、アフリカや地中海沿岸には鎌状赤血球貧血症という遺伝があります。通常であれば、進化の過程で淘汰されるもの、しかしこの遺伝子にはマラリアに罹りにくい遺伝子でもあるという結果だそうです。
テストのためにテスト勉強ではなく、その人の遺伝を受け入れ、自分自身の生き方を見つけるために教育改革が必要と力説する著者。まずは、「行動遺伝学」の新たな知見に本書で触れてみて下さいませ。

著者 安藤 寿康
出版社 SBクリエイティブ
発行 2016 12/15
《家柄のいい男、才能がありそうな男、結婚するならどっち??》
本書の趣旨は、2つ。まずは、「行動遺伝学」の正しい知識を身に着け、「わたし力」を伸ばそう!!、さらには、小さな教育改革と大きな教育改革を実行しよう!!というものです。
知識など,どの才能も遺伝するのでしょう!!とお思いの方も多いと思います。それをどう行動に生かのか?難しいものがあります。収入と遺伝との関係は?英才教育って本当に効果があるの?勉強しても無駄なのか??etc..
勿論、遺伝が関与しているのは紛れもない事実です。そうであるならば、遺伝的素養を生かす社会を作るために、「行動遺伝学」の知見を正しく身に着けておかねばなりません。かつては、あのチャールズ・ダーウィンの親戚のフランシス・ゴールドトンは「天才や才能を持ったものは遺伝する」と「優性学」で唱えたとも言われております。
まずは、性格です。知識と並んで重要な項目ですよね。人間の性格を表す5要素です。
現在では、ビック5(OCEAN)が主流と言われております。
①:経験の開放性、または好奇心の強さ
②:勤勉さ
③:外向性
④:協調性
⑤:情緒不安定性です。
ビック5は、世界中の心理学者が知能検査と同じように信頼性のあるものから導き出しましたが、このビック5の遺伝率は、30~50%といわれております。著者が考案した考え方に「カラープリンター理論」があります。性格も当然一人ひとり違い、シアン、マゼンタ、イエローなどと長所と短所があり、それを混ぜそこに一般知能という黒を加えるという考え方です。
では、一般知能はどれくらい遺伝するものなのでしょうか??一卵性双生児と二卵性双生児の比較から導き出されたのは、たとえば、青年期のIQの個人差は、遺伝54%、共有環境が19%、非共有環境が27%です。しかるに、約73%がホギャーと生まれその親の手育てらえる、いわば子どもとしてはどうしようもないところです。もっと言えば、遺伝+非共有環境により決まっているということも言えます。収入への遺伝の影響は、2~4割ほどといわれております。
では、冒頭の行動遺伝学から導き出された答えは、如何なるものになるのでしょうか?そこで、児童期、青年期、成人期に分けて知能に及ぼす〝遺伝〝と〝環境〝の影響をプロットしたところ、人間は年齢を重ねるさまざまな影響にさらされているうちに、遺伝的な素質が引き出され、本来の自分自身になっていくそうです。よって環境か?遺伝か?を問われると〝遺伝〝を選択したほうがベターということになります。
ボク個人としては、単純な足し合わせでない、遺伝の仕方で「非相加的遺伝」に興味を持ちました。例えば、進化の過程で一見不利になるような遺伝子、アフリカや地中海沿岸には鎌状赤血球貧血症という遺伝があります。通常であれば、進化の過程で淘汰されるもの、しかしこの遺伝子にはマラリアに罹りにくい遺伝子でもあるという結果だそうです。
テストのためにテスト勉強ではなく、その人の遺伝を受け入れ、自分自身の生き方を見つけるために教育改革が必要と力説する著者。まずは、「行動遺伝学」の新たな知見に本書で触れてみて下さいませ。
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。