■書評 コモディティ戦争 -ニクソン・ショックから40年
コモディティ戦争
著者 阿部直哉
出版社 藤原書店
発行 2012 05/30
はじめに・・今、金融市場では、LIBOR(ライボー)の不正がとり立たされている。LIBORとは、世界の銀行間取引の標準金利のことで、世界の主要16行が自行の金利コストをBBA(英国金融協会)に届出しその平均金利が公表される場である。この年間取引高は、約360兆円(約3京円)である。2008年から英バークレイズ銀行は、LIBORを不正操作していた。何故この事を前置きしたかというと、これによりLIBOR管理国の英国の特権は失墜し、アメリカに移ることなる。これにて、株式、商品、「世界の金利操作」はアメリカが握ることになるであろう。
本題に話を移そう。冒険投資家、ジム・ロジャーズ氏が書籍「商品の時代」を出版したのが2005年である。
それから今月20日遂にシカゴ大豆先物市場相場は、過去最高を更新した。まさに氏は「先物思考」を身に付けた誰もが認める大物である。ただ本書は、「商品」で儲けましょうという類の話ではない。
ニクソン・ショック、1971年8月15日リチャード・ニクソン大統領は、ドルと金の交換を一方的に廃止し固定相場制から変動相場制に移行したのは皆さんもご存じだと思う。これは、コモディティ商品の価格決定権を手中に国際政治上の武器になるようにとった行動である。
これは、金融先物相場の父と呼ばれた人物、やはりユダヤの血。ポーランド系ユダヤ人のリオ・メラルド氏である。当時ナチス政権下この人物のビザを発行したのは、あの杉原千畝である。それによりシカゴの金融市場を牛耳る人物となった。本書はこのような目を見張るエピソード満載である。
ボクは、常々アメリカという国は「戦略国家」だと思っている。上述したLIBORの事を金や原油などでも行ってきたのだ。例えば、WTI原油先物市場があるが、この時価総額は驚いた事に僅か19兆円である。米国は世界の原油の約40%を消費するといわれているが、世界の生産単位で見れば1%を満たない。それでもWTI原油先物価格を1983年に上場させているのだ。
忘れてならないのは、先物王国といわれる、シカゴでコモディティ市場が開始される前、遡ること約130年前に江戸時代の大坂・堂島にて米帳合が世界初の先物取引だったわけです。大岡越前が米帳合の認可を下し、加賀百万石が、関西経済圏を後押しした歴史や、現在世界遺産登録を目指している「富岡製糸場」etc..日本のコモディティの歴史も満載だ。なかでも、「投機」の語源が「禅語」に由来していた事実は、ボクにとっては驚きだった。よって、これから金融など学習したい方には好書である。
世界の人口が70億人を超えレアアース(希土類)、とりわけ「水資源」の奪い合いなどコモディティから目が離せない時代に突入したのは、間違いない。政府におんぶにだっこをするつもりはないが、グローバルセンスのある政治家の誕生を切に願う。
コモディティ戦争
著者 阿部直哉
出版社 藤原書店
発行 2012 05/30
はじめに・・今、金融市場では、LIBOR(ライボー)の不正がとり立たされている。LIBORとは、世界の銀行間取引の標準金利のことで、世界の主要16行が自行の金利コストをBBA(英国金融協会)に届出しその平均金利が公表される場である。この年間取引高は、約360兆円(約3京円)である。2008年から英バークレイズ銀行は、LIBORを不正操作していた。何故この事を前置きしたかというと、これによりLIBOR管理国の英国の特権は失墜し、アメリカに移ることなる。これにて、株式、商品、「世界の金利操作」はアメリカが握ることになるであろう。
本題に話を移そう。冒険投資家、ジム・ロジャーズ氏が書籍「商品の時代」を出版したのが2005年である。
それから今月20日遂にシカゴ大豆先物市場相場は、過去最高を更新した。まさに氏は「先物思考」を身に付けた誰もが認める大物である。ただ本書は、「商品」で儲けましょうという類の話ではない。
ニクソン・ショック、1971年8月15日リチャード・ニクソン大統領は、ドルと金の交換を一方的に廃止し固定相場制から変動相場制に移行したのは皆さんもご存じだと思う。これは、コモディティ商品の価格決定権を手中に国際政治上の武器になるようにとった行動である。
これは、金融先物相場の父と呼ばれた人物、やはりユダヤの血。ポーランド系ユダヤ人のリオ・メラルド氏である。当時ナチス政権下この人物のビザを発行したのは、あの杉原千畝である。それによりシカゴの金融市場を牛耳る人物となった。本書はこのような目を見張るエピソード満載である。
ボクは、常々アメリカという国は「戦略国家」だと思っている。上述したLIBORの事を金や原油などでも行ってきたのだ。例えば、WTI原油先物市場があるが、この時価総額は驚いた事に僅か19兆円である。米国は世界の原油の約40%を消費するといわれているが、世界の生産単位で見れば1%を満たない。それでもWTI原油先物価格を1983年に上場させているのだ。
忘れてならないのは、先物王国といわれる、シカゴでコモディティ市場が開始される前、遡ること約130年前に江戸時代の大坂・堂島にて米帳合が世界初の先物取引だったわけです。大岡越前が米帳合の認可を下し、加賀百万石が、関西経済圏を後押しした歴史や、現在世界遺産登録を目指している「富岡製糸場」etc..日本のコモディティの歴史も満載だ。なかでも、「投機」の語源が「禅語」に由来していた事実は、ボクにとっては驚きだった。よって、これから金融など学習したい方には好書である。
世界の人口が70億人を超えレアアース(希土類)、とりわけ「水資源」の奪い合いなどコモディティから目が離せない時代に突入したのは、間違いない。政府におんぶにだっこをするつもりはないが、グローバルセンスのある政治家の誕生を切に願う。
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