■ 音楽史を変えた五つの発明

音楽史を変えた五つの発明
03369206著者 ハワード・グッドール
訳者 松村 哲哉
出版社 白水社
発行 2011 03/10




芸術の秋である。そこで今日はこの書籍をセレクト。
西洋音楽はローマカトリック教会で産声を上げ、ルネサンス時代に教会から乳離れを果たした。
本書は、古代から現代までの音楽の歴史を5つの発明から解きほぐし、それらが音楽史にもたらした
影響を掘り下げた書籍である。
著者はイギリスの作曲家で、日本では人気テレビシリーズの「ミスタービーン」の音楽を書いた人物である。

さて、5つの発明とは何か?実は「モノ」は一つしかない。それは、ボクが演奏できたらといつも感じている
ピアノだ。ピアノについては後述する。
残り4つは、記譜法、オペラ、平均律、録音である。

例えば、平均率とは1オクターブを十二の音に等間隔に分けた音階の事をいい、音楽のカレンダー的な
役割を果たす。しかし、この平均律がなかなかの厄介ものであった。何しろ、2千年にわたって理論家や音楽家が悪戦苦闘を虐げられた。
ピュタゴラスが発見した音の調和の法則の基づくと、1オクターブあがるにつれて複数の音の組み合わせが
機能せず、ハーモニーは濁り音階がおびやかされる。この現象を「ピュタゴラス・コンマ」と言う。
中国人もこれについては、解明していたらしい。音楽でも東西の文化の交流があったことをうかがい知ることができる。これを完璧に解明したのが「バッハ」である。バッハの天才ぶり詳細については、本書をご一読していただきたい。すごいの一言である。

そして、5つの発明のひとつ。「ピアノ」。300年前にイタリアで発明され、今では地球という惑星のあらゆる
場所でこの楽器を目にすることはできるだろう。西洋音楽において、これほどインパクトな発明はないかも
しれない。ピアノはチェンバロとは異なり、本書によれば、まずは歌の伴奏楽器として普及した。
サロンや家庭に入り、さらには巨大な演奏劇場まで浸透した事は皆さんもご存知である。
その後、ピアノはジャズを生んだ。音楽界において「ピアノ」は、まさに蒸気機関車のような存在だったのだ。

また、第5章では、録音機について記述されている。当初、蓄音は演説を録音するためのものであった。
それが、やがて音楽を聴く事へと変わっていく。
その録音機に深く関わったのがご存知、トーマス・アルヴァ・エジソンである。
これにより今度はクラシックを聴く層が一気に拡大した。
そしてカルーソーのメガスター誕生にいたるわけである。
忘れてならないのは、ポピュラー音楽はアフリカから、クラシック音楽はユダヤ人のコミュ二ティからかなりの
影響をうけたということだ。

本書は、音楽史を通して一般社会にもたらした影響を交え、作曲家としての視点でまとめあげれている。
哲学者のピュタゴラス、ローマ教皇グレゴリウス一世、メディチ家の人々、そして発明王エジソンと
秋の夜長にピッタリの書籍ではないだろうか?!
明日にでもコンサートホールに行きたくなる音楽史のうんちく満載本であった。