■ 書評 利他学
利他学
著者 小田 亮
出版社 新潮選書
発行 2011 05/25
2011.03.11 東日本大震災発生!その後メディア等による報道で、津波や被災地の光景を目にし、
義援金活動された方、物資を被災地へ配送した企業、そして実際に被災地へボランティアとして足を
運ばれた方々・・
この書籍の帯タイトルは〈人はなぜ赤の他人を助けるのか?〉よって今日はこの書籍をセレクト。
ボク自身といえば被災地からわが街・小諸に避難されてきた方々に旬のフルーツをお届けした。
正直いてもたってもいられなくなったからである。
さて本書に移ろう。この書籍は「人間行動進化学」に属する分野にあたる。
ここで、専門的に基本的な事としてボクのように間違ってインプットされている方も、もしかしていらっしゃる
といけないので一例を。天才メジャーリーガーのイチロー選手などが、毎年進化しているとメディア等で
発言されているが、実際は「成長」しているが正しい。今、世界陸上が行われているが、ウサイン・ボルト
もしかりである。
生物進化とは、何かというと「変化」である。そして「進化」の反対は「退化」ではなく変化なのである。
この学論的事実をボクは完全に誤解していた。それだけで、本書に買い損はなかった。
では、何が「変化」するかと言うと遺伝子である。
まず著者が問うたのは、血縁個体(子や兄弟等)への利他行動は説明しやすい。自分とDNAを分かち合う
個体だからである。問題は、帯タイトルにあるように赤の他人である。
たとえば、1000円のうち他人への分配額を自由に決める実験ではやはり「目」のある部屋で分配金が
増える。また魅力的な女性を前にした男性は分配金が大幅に増える実験結果がでている。
よって人は「目」の写真や絵がある空間だと利他性が高まる仕組みが自動的に高まると人の心に著者は
あると言う。まさに「目は口ほどモノを言う」である。
とこらが、所変われば、「目」より「口」これは、アメリカ人である。よってスマイルの際の絵文字は、
日本では「目」。アメリカでは「口」だそうだ。ご興味のある方は、さらに奥深い実験結果があるので
本書を参考にして頂きたい。
上記のような実験結果を用い著者は、他社への互恵的関係、すなわち「おたがいさま」の関係を維持できる
という。
ボク達の私生活で少しこの場面を想像していただきたい。
ショッピングセンターで買い物終えて、駐車場に戻る際突然の雨。そこへ見ず知らずの人が傘を差し掛け、
一緒に車まで。この行為は少し専門的になるが、「順行的互恵性」という。このような感謝の気持ちが
また第三者の他人へ移る事を「逆行的互恵性」というらしい。
ボク達人間の感情には、上記の感謝の他に怒りや驚きなど他の動物と共通したものもあるが、
その一方で友情、嫉妬、罪悪感といった、おそらく他の種には見られない比較的複雑な感情もあるのだ。
とりわけ、感情の中でも道徳的感情は互恵的利他行動への適応として進化してきたようだ。
今回の震災で垣間見えた、ヒトの利他性を生かした仕組み。本書は人と人が支えあう理由(わけ)を
考え直す書籍だと思う。
他人を助けあいたいという進化。どんな適応的な利点があって維持されてきたのか?!
敢えて、新社会人にオススメしたい書籍だった。

著者 小田 亮
出版社 新潮選書
発行 2011 05/25
2011.03.11 東日本大震災発生!その後メディア等による報道で、津波や被災地の光景を目にし、
義援金活動された方、物資を被災地へ配送した企業、そして実際に被災地へボランティアとして足を
運ばれた方々・・
この書籍の帯タイトルは〈人はなぜ赤の他人を助けるのか?〉よって今日はこの書籍をセレクト。
ボク自身といえば被災地からわが街・小諸に避難されてきた方々に旬のフルーツをお届けした。
正直いてもたってもいられなくなったからである。
さて本書に移ろう。この書籍は「人間行動進化学」に属する分野にあたる。
ここで、専門的に基本的な事としてボクのように間違ってインプットされている方も、もしかしていらっしゃる
といけないので一例を。天才メジャーリーガーのイチロー選手などが、毎年進化しているとメディア等で
発言されているが、実際は「成長」しているが正しい。今、世界陸上が行われているが、ウサイン・ボルト
もしかりである。
生物進化とは、何かというと「変化」である。そして「進化」の反対は「退化」ではなく変化なのである。
この学論的事実をボクは完全に誤解していた。それだけで、本書に買い損はなかった。
では、何が「変化」するかと言うと遺伝子である。
まず著者が問うたのは、血縁個体(子や兄弟等)への利他行動は説明しやすい。自分とDNAを分かち合う
個体だからである。問題は、帯タイトルにあるように赤の他人である。
たとえば、1000円のうち他人への分配額を自由に決める実験ではやはり「目」のある部屋で分配金が
増える。また魅力的な女性を前にした男性は分配金が大幅に増える実験結果がでている。
よって人は「目」の写真や絵がある空間だと利他性が高まる仕組みが自動的に高まると人の心に著者は
あると言う。まさに「目は口ほどモノを言う」である。
とこらが、所変われば、「目」より「口」これは、アメリカ人である。よってスマイルの際の絵文字は、
日本では「目」。アメリカでは「口」だそうだ。ご興味のある方は、さらに奥深い実験結果があるので
本書を参考にして頂きたい。
上記のような実験結果を用い著者は、他社への互恵的関係、すなわち「おたがいさま」の関係を維持できる
という。
ボク達の私生活で少しこの場面を想像していただきたい。
ショッピングセンターで買い物終えて、駐車場に戻る際突然の雨。そこへ見ず知らずの人が傘を差し掛け、
一緒に車まで。この行為は少し専門的になるが、「順行的互恵性」という。このような感謝の気持ちが
また第三者の他人へ移る事を「逆行的互恵性」というらしい。
ボク達人間の感情には、上記の感謝の他に怒りや驚きなど他の動物と共通したものもあるが、
その一方で友情、嫉妬、罪悪感といった、おそらく他の種には見られない比較的複雑な感情もあるのだ。
とりわけ、感情の中でも道徳的感情は互恵的利他行動への適応として進化してきたようだ。
今回の震災で垣間見えた、ヒトの利他性を生かした仕組み。本書は人と人が支えあう理由(わけ)を
考え直す書籍だと思う。
他人を助けあいたいという進化。どんな適応的な利点があって維持されてきたのか?!
敢えて、新社会人にオススメしたい書籍だった。
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