▼書評 『科学が暴く「食べてはいけない」の嘘-エビデンスで示す食の新常識』
Since 1973 ASAMANA
最新の「栄養学」に関する書籍を読了しました。
科学が暴く「食べてはいけない」の嘘-エビデンスで示す食の新常識
著者 アーロン・キャロル
訳者 寺町 朋子
出版社 白揚社
発行 2020 03/26
《最新の栄養学から導く危険な食べ物とは??》
《科学は危険を示すよりも、安全を示すほうがはるかに難しい!!》
COVID-19 の収束が見えない状況です。中国・わが国を含めいつ「安全宣言」がなされるのでしょうか?医学・栄養学を含め「危険」はいくらでも強調することはできますが、「安全」となるとなかなか難しのが実態です。日々のボク達の食事の中で、あれはダメ、これはダメのオンパレード、さらには健康寿命の長期化に伴い、あれを「食べろ」の情報番組も非常に多いですね。一体何を信じて「食事」をして良いのやら。かえってストレスが溜まりますね。
著者はインディアナ大学の医学部小児科医教授で、また保険医療研究者として傾向政策プロフェショナリズム研究センターの理事も務めております。著者が栄養学にどのようにフォーカスしたかは、WHOやランセット誌などのありとあらゆる研究論文の精査です。何しろ毎年数百万本の論文が発表されるといいますから、綿密に調べ上げるのには非常に労力がいります。小職も「食」に関するさまざまな書籍を読み漁ってきましたが、この書籍は非常に稀有です。よって著者は、
と述べております。研究論文などの格付けは次のようになります。症例報告<症例シリーズ<横断研究<症例対称研究<コホート研究<ランダム化比較試験 そして、システマティックレビューとメタ分析
という位置づけになります。
また、メディアの影響による・出版バイアス(危険をあおる)、医師による確証バイアス(自説を支持する情報ばかり集め、それ以外を無視してしまう傾向)や、倫理的な問題で例えば、社会的に悪いという食材をヒトに与え続けるわけにはいきません。著者はラットやマウスから得られた結果がそのままボク達・人に当てはまることはないと強調しております。
では、本書のポイントを事例をあげてピックアップしてみましょう!!たとえば、WHOはタバコとアルコールは実質的には同じカテゴリー(発がん性)にまとめた。しかしアルコールには健康上の利益がいくつもある。では一日に食べる加工肉はどうか?加工肉の量が50g増えるごとに大腸がんのリスクが18%上昇すると。この場合加工肉の摂取で、上昇するリスクは相対リスクであって、絶対リスクではない。考慮すべきは。
だと。ここでアルコールについて精査しておきましょう。アルコールをまったく飲まない人に比べて、週に一回飲む人は、中年期の認知機能がかなりよいこと。(イギリスのコホート研究)、また適度にアルコールを飲む人では、飲まない人に比べて糖尿病の発症率が低い(システマティックレビュー)など栄養効果が記述されています。しかし、飲みすぎると、またビンジ酒(短時間で大量の飲酒をすること)などは、暴力を含め依存症へと繋がります。場合によっては
といえると述べております。上述したように認知機能の防止、糖尿病の予防の効果がある一方、極めてリスクなのが「お酒」ということです。だからと言って「お酒」を全く絶ちなさいという意味にはならないわけです。前述したアルコールを含め、バター、肉、卵は一週間にいくつ?、塩化ナトリウムの食塩、グルテン、ダイエットソーダ、グルタミン酸と綴られております。
唐突ですが、皆さんは「コーヒー」の栄養学的効果ってどのようにお思いでしょうか?少し列挙してみましょう!実に利点が多いことか。心血管障害のリスクの低下、脳卒中のリスク低下、肝臓がんのリスク低下、さらにはアルツハイマーの予防まで。システマティックレビューでは慢性肝疾患患者では毎日飲むことを推奨―推奨しているそうです。コーヒーに害について問われるのが、VS.カフェインですね。だから本書で記述されているのは、一日コーヒーは4杯前後です。ただし、罹りつけ医の先生に相談して下さいとなります。しかしながら、いくらコーヒーが体によいといっても、子どもは神経が昂ったり、妊婦の方は一日2杯と注意が必要 です。
コーヒーの章をまとめると、悪影響ありの主張は根拠薄弱 なのです。本書の要点は、問題は「程度の問題」ということになります。コーヒーの章からも「プラセボ効果」の逆の「ノセボ効果」にも注意が必要になります。ノセボ効果とは思いこみから、悪い影響を被ること です。全くダメダメ主義では弊害も多々ありますよというのが、本書からのメッセージです。
そもそも、アメリカ農務省が承認したガイドラインは、1849年に発表されました。その時はくる病、脚気、壊死病が問題視されていましたが、現在先進国ではほとんど見当たりません。昨今先進国の死因の第一位は心疾患です。
この強烈なメッセージが本書の核心です。
ここで、さらには「ダイエット」をお考えの方に、本書P57より
ということがわかったと。だからといって、炭水化物を一切断ちなさいとはなりません。その点は注意して下さい。本書のさいごの章では、著者から明快なメッセージが①:さまざまな未加工食品から摂取する。たとえばリンゴジュースよりも、リンゴ丸ごと。②:低加工食品の食べる回数を少なくする、③:高加工食品を食べる回数はさらに少なくする。④:なるべく家庭料理を食べる。これは家で料理を作るのは他人が思うより大変、そして努力が欠かせないとも、etc..中食より手料理ですね。しかし、たまには気晴らしに、外食もとも。
健康長寿に近道なし かも知れませんね。話は前後しますが、本書の第十章では「有機 vs.非有機」食品も記述されております。あまり農薬のことを気にするより、とりわけ先進国においては、さまざまな野菜などを食べないリスクのほうが高いかも知れません。
本書は栄養学に目覚めた著者による、意欲作です。
食材の栄養効果などにご興味のある方は、ぜひ手にとって下さいませ。
【関連書籍】
著者 ティム・スペクター
訳者 熊谷 玲美
旬の柑橘「清見」などの詳細は、⇒⇒⇒こちら です。
旬の柑橘「日向夏」などは、⇒⇒⇒こちら です。
また、信州・最高峰の「アルプス長芋」は、⇒⇒⇒こちら です。
フルーヤその他に関するご質問等は、ご遠慮なくお問い合わせ下さいませ。
Since 1973 ASAMANA
最新の「栄養学」に関する書籍を読了しました。

著者 アーロン・キャロル
訳者 寺町 朋子
出版社 白揚社
発行 2020 03/26
《最新の栄養学から導く危険な食べ物とは??》
《科学は危険を示すよりも、安全を示すほうがはるかに難しい!!》
COVID-19 の収束が見えない状況です。中国・わが国を含めいつ「安全宣言」がなされるのでしょうか?医学・栄養学を含め「危険」はいくらでも強調することはできますが、「安全」となるとなかなか難しのが実態です。日々のボク達の食事の中で、あれはダメ、これはダメのオンパレード、さらには健康寿命の長期化に伴い、あれを「食べろ」の情報番組も非常に多いですね。一体何を信じて「食事」をして良いのやら。かえってストレスが溜まりますね。
著者はインディアナ大学の医学部小児科医教授で、また保険医療研究者として傾向政策プロフェショナリズム研究センターの理事も務めております。著者が栄養学にどのようにフォーカスしたかは、WHOやランセット誌などのありとあらゆる研究論文の精査です。何しろ毎年数百万本の論文が発表されるといいますから、綿密に調べ上げるのには非常に労力がいります。小職も「食」に関するさまざまな書籍を読み漁ってきましたが、この書籍は非常に稀有です。よって著者は、
栄養について国民全体にアドバイスするために正当に用いることができるのは、ランダム化比較試験だけだ
と述べております。研究論文などの格付けは次のようになります。症例報告<症例シリーズ<横断研究<症例対称研究<コホート研究<ランダム化比較試験 そして、システマティックレビューとメタ分析
という位置づけになります。
また、メディアの影響による・出版バイアス(危険をあおる)、医師による確証バイアス(自説を支持する情報ばかり集め、それ以外を無視してしまう傾向)や、倫理的な問題で例えば、社会的に悪いという食材をヒトに与え続けるわけにはいきません。著者はラットやマウスから得られた結果がそのままボク達・人に当てはまることはないと強調しております。
では、本書のポイントを事例をあげてピックアップしてみましょう!!たとえば、WHOはタバコとアルコールは実質的には同じカテゴリー(発がん性)にまとめた。しかしアルコールには健康上の利益がいくつもある。では一日に食べる加工肉はどうか?加工肉の量が50g増えるごとに大腸がんのリスクが18%上昇すると。この場合加工肉の摂取で、上昇するリスクは相対リスクであって、絶対リスクではない。考慮すべきは。
相対リスクではなく、絶対リスク
だと。ここでアルコールについて精査しておきましょう。アルコールをまったく飲まない人に比べて、週に一回飲む人は、中年期の認知機能がかなりよいこと。(イギリスのコホート研究)、また適度にアルコールを飲む人では、飲まない人に比べて糖尿病の発症率が低い(システマティックレビュー)など栄養効果が記述されています。しかし、飲みすぎると、またビンジ酒(短時間で大量の飲酒をすること)などは、暴力を含め依存症へと繋がります。場合によっては
アルコールは世界で最も危険な薬物
といえると述べております。上述したように認知機能の防止、糖尿病の予防の効果がある一方、極めてリスクなのが「お酒」ということです。だからと言って「お酒」を全く絶ちなさいという意味にはならないわけです。前述したアルコールを含め、バター、肉、卵は一週間にいくつ?、塩化ナトリウムの食塩、グルテン、ダイエットソーダ、グルタミン酸と綴られております。
唐突ですが、皆さんは「コーヒー」の栄養学的効果ってどのようにお思いでしょうか?少し列挙してみましょう!実に利点が多いことか。心血管障害のリスクの低下、脳卒中のリスク低下、肝臓がんのリスク低下、さらにはアルツハイマーの予防まで。システマティックレビューでは慢性肝疾患患者では毎日飲むことを推奨―推奨しているそうです。コーヒーに害について問われるのが、VS.カフェインですね。だから本書で記述されているのは、一日コーヒーは4杯前後です。ただし、罹りつけ医の先生に相談して下さいとなります。しかしながら、いくらコーヒーが体によいといっても、子どもは神経が昂ったり、妊婦の方は一日2杯と注意が必要 です。
コーヒーの章をまとめると、悪影響ありの主張は根拠薄弱 なのです。本書の要点は、問題は「程度の問題」ということになります。コーヒーの章からも「プラセボ効果」の逆の「ノセボ効果」にも注意が必要になります。ノセボ効果とは思いこみから、悪い影響を被ること です。全くダメダメ主義では弊害も多々ありますよというのが、本書からのメッセージです。
そもそも、アメリカ農務省が承認したガイドラインは、1849年に発表されました。その時はくる病、脚気、壊死病が問題視されていましたが、現在先進国ではほとんど見当たりません。昨今先進国の死因の第一位は心疾患です。
特定の種類の食品を一切食べないことによって何かの病気が治るとは限らないうえ、じつのところ害する可能性がある
この強烈なメッセージが本書の核心です。
ここで、さらには「ダイエット」をお考えの方に、本書P57より
低炭水化物食や地中海食のほうが低脂肪食より効果が高い
ということがわかったと。だからといって、炭水化物を一切断ちなさいとはなりません。その点は注意して下さい。本書のさいごの章では、著者から明快なメッセージが①:さまざまな未加工食品から摂取する。たとえばリンゴジュースよりも、リンゴ丸ごと。②:低加工食品の食べる回数を少なくする、③:高加工食品を食べる回数はさらに少なくする。④:なるべく家庭料理を食べる。これは家で料理を作るのは他人が思うより大変、そして努力が欠かせないとも、etc..中食より手料理ですね。しかし、たまには気晴らしに、外食もとも。
健康長寿に近道なし かも知れませんね。話は前後しますが、本書の第十章では「有機 vs.非有機」食品も記述されております。あまり農薬のことを気にするより、とりわけ先進国においては、さまざまな野菜などを食べないリスクのほうが高いかも知れません。
本書は栄養学に目覚めた著者による、意欲作です。
食材の栄養効果などにご興味のある方は、ぜひ手にとって下さいませ。
【関連書籍】
著者 ティム・スペクター
訳者 熊谷 玲美
出版社 白揚社
さて、当園では信州・JA松本ハイランドの「アルプス長芋」、旬の柑橘類も販売しております。
旬の柑橘「清見」などの詳細は、⇒⇒⇒こちら です。
旬の柑橘「日向夏」などは、⇒⇒⇒こちら です。
また、信州・最高峰の「アルプス長芋」は、⇒⇒⇒こちら です。
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Since 1973 ASAMANA
お問い合わせ先
ASAMANA・小林農園浅間サンライン直売店
TEL 0267-24-1483 open 9:00~17:00 (定休日:水曜)
WWW: http://asamana-farm.com/

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