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旬のフルーツリレー便

2019年04月

書評 『すべての医療は「不確実」である』

▼書評 『すべての医療は「不確実」である』

すべての医療すべての医療は「不確実」である

著者 康永 秀生
出版社 NHK出版
発行 2018 11/10







《医師が提案する治療法について疑問を感じたら「それは診療ガイドラインに載っていますか?」と尋ねてみること》
もっともな本書のタイトルであります。著者は臨床医を経て、研究医の道へ現在は東京大学大学院医学系研究科の教授で、専門は臨床疫学です。その「臨床疫学」とは、医療の不確実性に挑む科学であります。基礎実験データではなく、多くの患者たちの臨床データを集め、応用統計学を駆使して、より確実な医療とは何かを探索し続ける学問です。従いまして、本書において因果関係は非常に重要です。たとえば「AならばB」。Aが喫煙で、Bが肺がんというように、またAが薬剤でBが病気の治癒というように。この分析こそが、「臨床疫学」の真骨頂でもあるからです。

そのためには、「ランダム化比較試験」を行う必要があるわけです。たとえば、薬の真の効果を判定するために、対象者を治療群と対象群に振り分け、治療群には本物の薬(実薬)を、対象群には実薬と同じ色・形のプラシーボ(偽薬)を投与し、両群間で効果を比較します。このような「ランダム化比較試験」は、

最も厳密なデザインに基づく効果比較研究であり、科学的根拠(エビデンス)のレベルが最も高い

というのが、本書の結論です。たとえば、近年では、フード・ファディズム(特定の食べ物にのめり込む一過性の流行)にこんなものがありましたね。京大がトマトに含まれる物質が脂肪肝や高脂血症を改善することを、マウスを用いた動物実験で明らかにしました。著者いわく、マウスの餌にトマトに含有されている物質を混ぜて飼育し4週間、その結果血中の中性脂肪濃度が約3割減りましたが、事実はそれ以上でもそれ以下でもないと断言しております。このような動物実験・細胞実験により誇張報道が繰り返され、かえって人々が不確かな情報に接する機会が増え、むしろ人々の医療に対するリテラシーを下げてしまうと危惧しております。よって

「〇〇療法でがんが消えた」などの体験談にすぎないものが科学的に根拠にを得ることは、これからもないだろう」

といいます。代替医療もしかりなのです。「代替医療」と呼び方自体が不適当だと著者は述べ、ヨーロッパでは「補完医療」と呼ばれております。気功、ヨガ、ホメオパシー、アロマテラピーなどの様々な民間療法のことです。ここでも研究成果を!!乳がん、前立腺がん、肺がん、結腸がんと診断され、一方が「代替医療」を一種類以上、他方が「通常医療」を受けた患者の治療後の健康状態を比較したところ、診断後5年以内の死亡率は、「代替医療」を選択した患者のたちの方が、通常医療を選択した患者の2.5倍以上だったそうです。

今この瞬間も真摯な医療従事者や研究者の方々は、「この苦痛少しでも和らげたい」などと日々研究に励んでいるわけですが、科学的根拠の基づいた、病気の治療法だけではなく、病気にならないための予防法については、「コクラン・ライブラリ」がとりわけおススメだといいます。世界の130カ国を超える3万以上の医学、医療の専門家の手によって信頼性の高い医療情報を提供している国際組織です。1992年に設立され、製薬会社や医療機器メーカーなど、営利組織からの資金提供は受けておりません。上述したような「〇〇療法が××に効く」などの健康食品の類は、しょせん食品であって、医薬品ではないことにご注意を。

病気を治す効果があると言いたいならば、「科学的根拠の基づく医療」と同じ土俵に載せて、その効果を科学的に証明し、学会で発表し、医学論文として出版した後に、健康食品として承認申請を行うべきである。

全く著者のこの意見に小職は同意します。近年、とりわけFM・AMラジオやBSテレビのⅭMでの健康食品のⅭMが多すぎ、何やら胡散臭さを感じています。ゆえに、著者は

健康食品に走って、病気を治すために医療を受ける機会を逃すことが、取り返しのつかない損害を生み出しかねないことに、誰しも留意すべき

であるとも。では、どうすれば病気に罹患するリスクを減らせるのであろう?!①「バランスの良い食事」、②「腹八分目」、③「よく噛んで食べる」の3つが「健康によい食事法である」と。意外性がないとお感じかも知れないが、繰り返し述べますが、「〇〇だけ食べて健康に」「△△というスーパーフード」といったお手軽情報は、ほぼ無意味です。単一の食品による健康改善は期待できないということ です。

本書をご一読いただければ、医療は進歩してたといえ、「不確実」であり「リスク」の問題と如実に言い表せます。たとえば、「がん」ボク達日本人の男性の62%、女性の47%が、生涯に一度はがんにかかるというのです。2018年に京都大学の本庶佑氏がノーベル医学生理学賞を受賞し話題となりました。「チェックポイント阻害薬」は、がん細胞がT細胞免疫を抑制するのを阻害し、人体にもともとある免疫細胞の活性化を持続させることによってがん細胞を間接的に叩く薬です。ある程度の効果を上げているそうです。一方で、免疫チェックポイント阻害薬以外の免疫療法(免疫細胞療法やワクチンなど)にはこれまで科学的根拠なしということです。

また、誰しも気になる「認知症」については、「サプリメント」に予防効果があるものは存在するか問えば、答えは「ノー」のようです。さらには、「脳トレ」もノーです。しかも世界的に見れば、認知症が増加している地域は日本を含む東アジアなどに限られ、一方欧米では認知症リスクが過去25年間で減少しています。この原因ははっきりわかっておりません。

ただし、福岡県の久山町のコホート研究では、高血圧のある人々は正常血圧の人々と比べて、脳血管性認知症のリスクが3~5.5倍高くなることが明らかにされております。

日本政府は2017年9月に「人生百年時代構想会議」を設置しましたが、「人生百年」は90年後の話で、その予測すら正しいのかわからないとしております。著者の生業とする「科学的根拠」を得るには、実は膨大な資金を必要とするのです。そうであるならば、認知症を筆頭に〝今〝力を注ぐべきなのは介護の仕組みづくりが課題だとしています。

iPS再生治療にクリスパーキャス9などにより、医療はより進歩することでしょう。もちろん目が離せないわけですが、医師が患者に対して実践している本質は、ヒポクラテスの時代からあまり変わっていないといいます。人工知能には仕事をサポートしてもらい、最終的な診断とその責任は医師が負う。これが医師の本懐でもあると。

本書からは、最新の医療のさまが窺い知りえます。何か「医療について」疑問に思っていることがあれば、是非本書を手に取って下さいませ。

【関連書籍】
生命科学クライシス―新薬開発の危ない現場

著者 リチャード・ハリス
訳者 寺町 朋子
出版社 白揚社
発行 2019-03-07

レビューは、こちら⇒⇒⇒

書評 『人が自分をだます理由ー自己欺瞞の進化心理学』

▼書評 『人が自分をだます理由ー自己欺瞞の進化心理学』

人が自分をだます理由人が自分をだます理由ー自己欺瞞の進化心理学

著者 ケヴィン・シムラー、ロビン・ハンソン
訳者 大槻 敦子
出版社 原書房
発行 2019 03/05






《本書こそが、人間を人間としてたらしめる理由である》
本書は「進化心理学」からみた、まさにボク達の行動である。本書の原題を直訳すれば「脳の中の象」です。これは、その場にいる誰もが見えているはずなのに見えていないふりをする状態を指し、=「部屋の中の象」という英語の慣用句を踏まえた表現なのだ。しかも誰しも持っているから面白い。

ボク達人類は、隠された動機に基づいて行動しているだけでなく、そうするべく設計されている種です。ボク達の脳は私欲のために行動するよう作られている一方で、他者の前では利己的に見えないように努力するのです。したがって、

みずからを欺く自己欺瞞は、好ましくない振る舞いをしながら「よく見せる」ために脳が用いる策略であり戦略

なのです。およそ一世紀前の経済および社会学者のソースタイン・ヴェブレンからヒントを得て、さらに大きな社会レベルの隠された動機を探って見つけた、「衒示(げんじ)的消費」。なぜ、高級品バッグなどを買うのかと問われると、消費者は、快適さ、美しさ、機能を強調。しかしながら、実は贅沢品の需要はおもに社会的な動機、すなわち「富を見せびらかす」ためでもあるのです。最近では、書籍「消費資本主義」の著者のジェフリー・ミラーが有名です。さらに、本書では一歩踏み込み人間が無意識に行っている行動を列挙するだけでなく、慈善事業、企業、病院、大学など、重んじられている制度の多くが公式な目的と同時に、隠された目的を果たしていることも示された点でホットといえるでしょう。

人はときに、虐待するⅭEO(最高経営責任者)や女たらしの大統領は別世界の人間で、自分は足が地についていると自画自賛しますが、しかしながら、少なくとも「規範」を回避する方法という点では、その差はおもに程度の問題なのです。自己欺瞞という行為は、平凡な人間で罰を受けずに違反できる行動とも。それは、時に仲間であるべきチームメイトの足を引っ張り、上司にごまをすり、不適切に色目を使って浮気し、策略を巡らし、自分の目的のために他者を操ることさえあります。少なくとも人は、

救いがたいほど自己本位ではないが、気高い行動基準に求めらるレベルよりは自分勝手

であるのです。

さらに、本書では自らをだまそうとしているように映る人間を「狂人」、「忠臣」、「チアリーダー」、「詐欺師」タイプに分類し、ボディランゲージ、笑い、会話、消費、芸術、慈善行為、教育、医療、宗教、さらには政治とその動機と、その動機が実はありふれたことで、しかも重要だということを共著の2人が解き明かしていくのです。

では、具体的に「芸術」をみてみよう。芸術はご存知にように時間とエネルギーの両方でコストの高い行動だが、同時に非実用的でもあります。しかしながら、「自然選択によって進化したのか?」、それとも「副産物なのか?」。この論理、実は

時間やエネルギーなどの資源を無駄にすることのできる相手のほうが交配相手として好ましいという考え方

をかたきており、つまりは潜在的相手の健康、富、活動力など、その無駄が表している生存の余力に価値がある、すなわち「芸術」は進化心理学者の多くは、人間の二足歩行のそれと同じで「適応」と考えている点です。ここで「芸術」に関する面白い記述をみてみよう!!それが適応度ディスプレイだ。芸術体験には外発的特質が必須である。つまりはその人の技量と証明だ。つまるところ、芸術家と消費者双方にとって成功しているものと、まったく失敗に終わるものとの差は、外発的特質によるものです。

たとえば、ルーブル美術館の防弾ガラスの向こう側にある、レオナルド・ダヴィンチの『モナ・リザ』。実際に足を運んで見た被験者に、仮に『モナ・リザ』が焼けてしまった場合について考えるように求めたら、その8割は見分けがつかないほどよくできたレプリカよりオリジナルの〝灰〝を見たいと答えたそうです。この感想こそ、人間の最たるものではないでしょうか!!

また、金銭にフォーカスされた「慈善の寄付」。アメリカ人の大部分の非営利行為に関心があると述べているが、一年のあいだに何らかの慈善の寄付について調べる人は35%で、アメリカの寄付にうち、それもいちばん必要としている人々、すなわち世界に貧困者に届くのは13%に満たないとも。

さらには、医療においてはどうだろう?!例として、3600人の7年半追跡した調査がある。郊外の居住者は都市部の居住者よりも平均して、6年長生きで、たばこを吸わない人は喫煙者より3年長生き、また少ししか運動しない人より運動を多くする人は15年長生きしたことが報告されています。
それでも何故人々は、費用対効果で健康が改善できるとわっていても日常のライフスタイルには自ら、あまり介入しないのであろう。そこには、もしかすると『「健康第一」にはあまり関心がなく、第三者がよいと考える治療に関心を持っている』。そう言われてみれば、そうかもしれないですね。食事を変えろ、睡眠をとれ、もっと運動をしろ、、こうした小言が重要とわかっていながら、「鯖缶」に頼るなどなど。

本書の進化心理学という学問を知れば、状況認識がうまくなり、間違った選択を減らせるかもしれません。ボクは、ジョン・レノンを言葉を思い出しました。「みんな平和について語るけど、誰もそれを平和的な方法でやってないんだ」と。

心にも環境に適応するための淘汰が起きたとみる、進化心理学の意欲作。大著ですが読み応えタップリです。是非この10連休などに皆さまも手に取って下さいませ。

わが街・「小諸城址懐古園」もうすぐ桜満開です♪♪


ASAMANA・小林農園〝野菜苗〝販売センターにて、春・夏向け野菜苗好評販売中!! です。

さて、昨日は地元の「小諸城址懐古園」へお散歩に行ってきました。

【小諸城址懐古園】 日本100名城 日本さくら名所100選
P1015560P1015494






 『小諸なる古城のほとり雲白く雄子かなしむ』:島崎藤村

P1015528
⇐ 水の手展望台より千曲川を望む





P1015518P1015510天守台より馬場を撮影しました







P1015523小諸八重紅枝垂桜「馬場にあります」












P1015499P1015504⇐「懐古神社」







P1015515「天守台のさくら」 になります。
三層の天守閣がありましたが、寛永3年(1626年)に落雷で焼失
しました。
その後、徳川の政策により再建されなかったいわれております。


P1015559P1015538







P1015554小諸市動物園の川上犬の さくらちゃん です。
もはやアイドル的な存在 ですね。

小諸市動物園は大正15年(1926年)に開園した、長野県最古の動物園
です。

なお、小諸城址懐古園の桜の満開期間は、4月21日~4月28日頃となっております。
皆さまの地元の桜はいかがでしょうか?!

お問い合わせ先 ASAMANA・小林農園〝野菜苗〝販売センター
tel  0267-23-5991
WWW: http://www.asamana-farm.com/

当園マネージャーセレクト!!家庭菜園に役立つ書籍5冊


ASAMANA・小林農園〝野菜苗〝販売センターにて、野菜苗好評販売中!!

P1015466今日のお花は、アリッサム
花言葉は「優美」、「美しさに優る価値」です。





【NO.1】
これならできる!自然菜園―耕さず草を生やして共育ち

著者 竹内 孝功
出版社 農山漁村文化協会
発行 2012-08-30



この書籍は、ゲノム編集作物が本格的に出回るまで鉄板の書籍でしょう!!

【NO.2】
育ちがよくなる! 病害虫に強くなる! 植え合わせワザ88 決定版 コンパニオンプランツの野菜づくり

著者 木嶋利男
出版社家の光協会
発行 2018-04-28


この書籍は、とりわけ初心者の方にはおススメの書籍です。

【NO.3】
植物は〈未来〉を知っている―9つの能力から芽生えるテクノロジー革命

著者 ステファノ・マンクーゾ
訳者 久保 耕司
出版社 NHK出版
発行 2018-03-24


植物の可能性が秘められた書籍です。しかもワクワクする内容です。
レビューは、こちら⇒⇒⇒

【NO.4】
植物はなぜ薬を作るのか (文春新書)

著者 斉藤 和季
出版社 文藝春秋
発行 2017-02-17

レビューは、こちら⇒⇒⇒


【NO.5】
植物はそこまで知っている (河出文庫)

著者 ダニエル チャモヴィッツ
訳者 矢野 真千子
出版社 河出書房新社
発行 2017-03-07

レビューは、こちら⇒⇒⇒

上記の5冊は、さらに家庭菜園を楽しいものにしてくれるでしょう!!

お問い合わせ先 ASAMANA・小林農園〝野菜苗〝販売センター
tel: 0267-23-5991  営業時間 午前8時30分~午後6時 となっております
WWW: http://www.asamana-farm.com/

2019 ASAMANA・小林農園〝野菜苗〝販売センターOPEN致しました

▼2019 ASAMANA・小林農園〝野菜苗〝販売センター OPEN致しました。

Since 1973  ASAMANA


4月20日(土)は二十四節気の「穀雨」です。「穀雨」とは、春雨が百穀を潤すことから名づけられたもので、雨で潤った田畑は種蒔きの好機を迎えます。

大変、お待たせ致しました。本日、野菜苗販売センターは、OPEN致しました。

P1015430今日のお花は、「ロベリア」です。
花言葉は、謙虚、悪意 です。





〝地力〝に勝る技術なし!!
信州・東信地区最大級の〝野菜苗〝販売センターOPEN です。
今年のテーマも昨年同様に、『テロメア』です。
さて、2019シーズンも春・夏向けの野菜&フルーツの苗木を80種以上と豊富に取り揃えております。

P1015446P1015441






小林農園〝野菜苗〝販売センターは、ココが違いますよ!!
●標高900メートルで育った強い苗木!!浅間山からの寒風に耐えた、決して過保護ではない苗木は当園より低地ではより一層元気に上手に育ちます。
●当園では「地力に勝る、技術なし!!」ということで、土づくりから栽培・販売まで当園スタッフが心を込めて育てた野菜の苗木にとことんこだわっております。
●40年以上の実績!! 豊富な経験と実績を持ち合わせております。

P1015463P1015460⇐2019.04.18の朝刊の折り込み広告の内容
です。






P1015454






是非、野菜苗を通して 命の尊さ、大切さ..etc も味わって頂ければ幸いです。
さらには、土の香り、色、見る楽しさ、野菜の生長する姿、選ぶ楽しさも満喫して下さいませ。

そして、「惣菜」より「素材」ですね。当園では、この道35年のベテランスタッフも常勤しておりますので、ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談下さいませ。

野菜苗販売期間 平成31年4月18日~令和元年6月16日(日)までとなっております。
★今シーズンの〝野菜苗〝の販売は、6月16日を持ちまして終了となっております。
ご注意願います。


お問い合わせ先:ASAMANA・小林農園〝野菜苗〝販売センター
tel: 0267-23-5991 (令和元年の野菜苗販売は、終了致しました)
WWW: http://www.asamana-farm.com/
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