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旬のフルーツリレー便

2019年03月

書評『脳科学者の母が、認知症になる-記憶を失うとその人は〝その人〝でなくなるのか?』

▼書評 『脳科学者の母が、認知症になる-記憶を失うとその人は〝その人〝でなくなるのか?』

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著者 恩蔵 絢子
出版社 河出書房新社
発行 2018 10/30






《生物は感情的な生き物なのだ》
はじめに・・認知症は2050年には世界で患者数が1億5000万人を超す予測があるそうです。ただ、我が国のエーザイ社がアルツハイマー型認知症の新薬候補試験(治験)を終了すると、つい発表されたばかりであるから、この病気に対する難しさを窺える。また、ボク自身の身内のことで恐縮であるが、ボクの祖母は昨年、享年96で亡くなりました。驚いたことに、亡くなる直前までひこ孫6人の名前をしっかり言えたから、その時ボクは「奇跡だ」とさえ思ったほどです。

さて、本書です。著者は〈自意識〉と〈感情〉を専門とする脳科学者ですが、その母と子(著者)の体験記です。「闘病体験記」というより、ボク自身なにか「清々しさ」を感じた読後感いう印象です。2017年のTED会議でリサ・ジェノバ氏が言ったことによると、もしボク達が85歳まで生き延びたとしたら、同い年の2人に一人はアルツハイマー病で、もう一人はアルツハイマー病の介護者と述べております。よって極々身近な病と言えるでしょう。認知症の母とその子(著者)の関係を脳科学者の立場と娘の立場から今できること/できないこと、してあげらること/あげられないこと etc..非常に女性らしい優しい筆致で描かれておりますので、皆様にもおススメの書籍です。

まず、母がアルツハイマー型認知症と診断されて、著者は次のように思ったそうです。「治るわけではないが、神経細胞の伝達を良くし、保護して進行を遅らせるには効果があるかもしれない薬がある」、「体自体によいことや、人生を楽しいと思えることを増やすしかない」という潔い病気であり、また科学者の立場として「確率ゼロは、『絶対に起こらない』を意味しない』。そして人間の体もまた、自然だと。さらには、強烈なメッセージが、

いろいろな原因が考えられるからこそ、早期に受診することが必要なのであると。

本書から、そもそもなぜ「認知症」を患うのであろう??一番のリスクファクターは「年齢」です。年齢が上がると、異常なタンパク質の蓄積が増え、発症しやすくなる病気です。そのため、細胞死が起こる領域の拡大に伴い、記憶力、言語力、問題解決能力など日常生活を送るのに必要な認知・運動能力が衰えていきます。対処療法としては「運動療法」です。たとえば、週3回ほど運動をしている人たちは、それ未満の人たちよりも、アルツハイマー病になる確率が低いことが明らかにされているそうです。

脳の海馬の萎縮からもたらさる「認知症」。そこで著者は「治す」ではなく、「できることは何か」を考えたのです。その一つが上述したような「運動療法」。毎日2時間の散歩であるといういいます。なぜ良いのか!!五感、目や耳や鼻、皮膚、そして足や手の筋肉からいろいろな情報が飛び込んでくるため、デフォルト・モード・ネットワークが活性化され、やる気が出るといいます。65歳でこの病気を発症した著者の母はそれまで、コーラス好き、料理好き、非常に社交的な女性でした。

そして、もう一つ脳科学的にはっきりしたことは、「宣言的記憶」という記憶。たとえば、「味噌汁と作ろうと思った」ことを忘れたしたり、適切な単語がうまく思い出せなかったり、する記憶はダメージを。他方、大脳基底核や小脳を主に司る、くり返し「体」を使ってやっている「非宣言的記憶」は問題がないことが多いいいます。さらには、著者は日々認知症の母と接することにより、

少なくとも初期のアルツハイマーで起こっている「思い出せない」という現象は、記憶が消えてしまったからではなく、そもそもうまく情報を記憶として定着させることができないことと、昔の記憶は残っているのにうまく取り出せなくなっていることから起きている。記憶自体は消えていない。

と言っています。また、認知症患者ばかりだけではなく、どの人に言えることですが、「今これをやっているのは私だ」「これは私がやったのだ」という感覚=これを「主体性の感覚」と専門用語でいいますが、これは

人間の幸福に重大な影響をもたらすことが知られている。「自分に選択の余地があって責任を持って生活できること」が幸せを感じ、活動的になる秘訣

なのだ。とも述べております。上述のように、ここまででも参考にしていただける事、理解は多分にあると思われます。実は、認知症の人には、「理性は失われても感情は残っている」とよく言われます。これは、生物学的視点から脳の中で呼吸機能など生命に維持に欠かせない部位、体に近い部位、すなわち生物として原始的な部位になるほど、萎縮に対して強く、最後まで残りやすかったのです。

それが、「感情」です。感情は理性だけではとても対応できないような、不確実な状況で、なんとか人間を動かしてくれるシステムであり、意思決定をさせてくれるシステムなのです。よってそれは

アルツハイマー病であっても、感情的反応は健康な人と同じであり、それは、やはり生物として進化してくる膨大な時間をかけて獲得してきたものだから、生存に役に立つ「正しい」判断なのであり、なかなか失われない

と記述されています。つまり、感情も刺激も「運動療法」と同様に大事なことであり、結局、感情のシステムと、大脳皮質の両方を発達させてくれるのです。つまるところ、感情は生まれつきの個性であり、また、認知機能と同じように、その人の人生経験によって発達してきた能力であり、いまだに発達しつづける能力だったのです。

人生最後まで「初めてのこと」は続くのです。

認知症患者に限らず、人生とは??よく問われますが、本書はアルツハイマー型認知症を通して、その人らしさ、人生とは を改めて考えさせられる良書だと思います。母は母、子は子なのです。いつまでたっても。。

また、本書は専門用語も平易にたとえ話なども盛り込まれておりますので、読み進めやすいです。是非皆さんも本書を手に取って下さいませ。

気になるニュース&書籍『CRIPR』


人生100年時代から140年時代??に。
遺伝子を効率よく改変できる「ゲノム編集」と技術を使った食品が、早ければ今夏にも我が国の市場に流通することになり話題となっております。その技術とは、「クリスパー・キャス9」です。

遺伝子の一部を壊して働きを止めるゲノム編集なら自然交配と同じ届け出だけで流通できるといいます。

たとえば、とまと。筑波県つくば市にある筑波大学では、ゲノム編集を使ったとまと栽培するビニールハウスの建設準備が進み、この大学が開発した「とまと」で、血圧の上昇を抑える「GABA」という物質を多く含むそうです。ミニとまとの大きさなら、2つ食べれば高血圧を防ぐ効果があるそうです。

その他、阪大では毒素の少ない「ジャガイモ」、産総研では、卵のアレルギーが少ない「ニワトリ」、農研機構では、収穫量の多い「イネ」、近畿大学では「肉付きの良いマダイ」などが予定されているそうです。

上述のようにエンドユーザー様にとってのメリットは短期間で簡単に開発ができるということになります。ただ、各国で議論が分かれております。欧州では司法裁判所が2018年7月に遺伝子組み換えと同様に規制すると判断し、慎重に議論が進められております。他方、米国では米・農務省が2018年3月に「ゲノム編集」食品の栽培を規制しない方針を打ち出しています。

ちょうどタイムリーなことにみすず書房より「これからの微生物学-マイクロバイオータからCRISPRへ」という書籍が発行されております。小職にとってはこの書籍は、まさに買い!! です。

CRISPRこれからの微生物学マイクロバイオータからCRIPRへ

著者 パスカル・コサール
訳者 矢倉 英隆
出版社 みすず書房
発行 2019 03





本書籍の感想などについては、後日、本BLOGにて。。

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書評『TRUST-世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか』

▼書評 『TRUST-世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか』

TRUSTTRUST-世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか

著者 レイチェル・ボッツマン
訳者 関 美和
出版社 日経BP社
発行 2018 07/24





《社会に欠かすことのできない信頼!!》
《信頼とは期待に対する自信である》
はじめに・・米スタンフォード大が、AI(人工知能)がもたらす人や社会への影響を研究する新組織を立ち上げたそうです。その新組織は「ヒューマン・センタードAI(HAI)」といいます。マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏はAIについて「有望であり危険。原子力にようなもの」、「性能を維持しつつも説明責任を果たせるような技術でないといけない」と発言し、グーグルのAI部門のTOPジェフ・リー氏は「(社会に普及している)技術の作りてとしては我々は高い倫理が求められる」と発言しました。自動運転車の記事が紙面などに踊るようになりましたが、それに対する〈信頼〉は前述にお二方の発言がまさにピッタリと合致するのではないでしょうか。

たとえば、輸送に対する〈信頼〉は次にように飛躍してきました。荷馬車⇒列車⇒車⇒飛行機⇒ライドシェア⇒自動運転車⇒〈未知のもの〉と。さてさて、本書の著者は9年前に『シェア』=『共有消費』で、タイムズ̪誌により世界を変える10のアイデアに選ばれ、2013年には世界経済フォーラムにより「ヤング・グローバル・リーダー」にも選出された人物です。

アリババ、ウーバー、エアビーアンドビー社などを引合いに出しながら、非常にテンポの良い筆致で描かれておりますので、肩ひじ張らずに読めるビジネス本でもあります。実際、2016年の世界経済フォーラムで現代社会に最大のリスクのひとつにあげられるほど、オンラインで世界中に拡散される誤報(フェイクニュース)と炎上が問題になるなど、今〈信頼〉が揺らいでいます。また、ボク達の生活にはほぼすべての取引には、おのずと信頼の要素が存在し、一定期間取引が継続する場合には信頼が存在するのです。テクノロジーがより良い選択や意外な選択を助けてくれるにしろ、自分たちの信頼をどこに置き、誰が信頼に値するかを最後に決めるのはボク達自身であるとことは間違いありません。

EUの「忘れられる権利」法案に関するグーグルの諮問員会に参加する唯一の倫理学者、ルチアーノ・フロリディ教授は次にように述べています。3つの重大な「脱中心社会への転換」が、人間の自己理解を変えてきた。①コペルニクスの天動説、②ダーウィンの自然淘汰、③人間の日々の行動は無意識によって支配されるとしたフロイト説、そして、現在オンラインとオフラインの生活がひとつになった「オンライフ」です。その典型が「フェイスブック」であり「ツイッター」です。ツイッター利用者の多くが中身を読まずにニュースをリツイートし、ツイッターでシェアされたリンクのうち59%は、実際には開かれておりませんでした。これこそ典型的な現代の情報消費に形であり、要約の要約を見て意見が形成されるいます。

また、本書の第六章には「闇取引の評判がすべて」で記述されておりますが、誰でもアマゾンで買い物をされる方はチェックするはずです。そう「レビュー」です。。現在偽レビューを見つけて排除するための機械学習システムが開発されつつあり、シカゴのホテルへの800件のレビューを検査したところ、ほぼ9割の確率で偽レビューを検知できたそうです。評価する人が評価される時代ということですね。

その最たるシステムが、中国です。中国の国民格付け制度は、ボク達の社会も近づいているかも知れません。信用の格付けが人生への格付けへと広がっているかもしれないのです。写真、本、音楽、映画、友達付き合い、そしてお金もデジタル化され、今

人格と評判がデジタル化される初期の段階に、わたしたちはいる

と著者は述べています。なお、中国の国民格付け制度は、全国的には2020年を目指し導入されるもの。具体的には何が格付けされるのか??信用履歴、履行能力、個人的な特徴、行動と嗜好、人間関係などです。評判がデジタル化され、その評判の友達や今度はその評判も評価される。そんな時代に生きているのですね。ボク達は。。

では、著者が唱える信頼性の三つの要素とは有能さ、頼りがい、正直さ

であると。ボクはこれからの「ブロックチェーン」の時代に入り、この正直さ又は倫理に非常に興味があります。何故ならブロックチェーンの目的は、①分散台帳の管理、②P2P(中央権力が存在しない)、③記録の書き換えができない、④透明性と匿名性だからです。ブロックチェーンの〈信頼〉については本書の第9・10章をご一読下さいませ。

とはいえ、その新しい発想に人々が信頼を寄せるようになるには次の3つの原則があります。

①カリフォルニアロールの原則、②メリットの原則、③信頼のインフルエンサーの原則です。

①カリフォルニアロールの原則というのは、寿司職人の真下氏が考案したことで、お寿司を外側に米が見えて内側に海苔のある「裏巻き」にした方が見た目的にアメリカ人の好みに合うことに気付いた点です。この原則は専門用語では「単純接触効果」、「熟知性の法則」と呼ばれるそうです。

つまり人の思考は、はっきりと体系化され定義付けられた構造に従っているということ。人間が新しい何かを理解するには、見慣れた構造やある種のシステムが必要である と。

これを実現したのが、スティーブ・ジョブズであり、エアビーアンドビー社なのです。

話は前後しますが、「ブロックチェーン」の仕組みというのは、ダイヤモンドの取引、ボク達が常飲しているお薬まで詳細が明らかになり、簡潔型社会において歴史的な仕組みだと本書を読了して感じました。

冒頭でも記しましたが、AIに対する〈信頼〉はどう築きあげられるのか??本書は間違いなく一読の価値があります。是非皆さんも手に取って下さいませ。

VIVIDな柑橘♪JA三重南紀の「セミノール」好評販売中!!


かんきつ類がおいしい季節ですね。

【かんきつ・セミノール】産地:三重県・JA三重南紀
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●交配 「ダンカングレープフルーツ」×「ダンシータンジェリン」

品種の特徴・・「セミノール」は「ダンカングレープフルーツ」と「ダンシータンジェリン」を掛け合わせて誕生したアメリカ生まれの品種です。
1910年代にフロリダ州アメリカ農務省の試験場で育成され、日本へは1955年(昭和30年)に導入されました。

果皮は赤みがかかった橙色で、甘みと酸味ともしっかりした濃厚な味わいです。果肉はやわらかく果汁がとても豊富です。じょうのう膜(薄皮)が薄くてジューシーなので、食べるときは果汁で手が濡れてしまうこともあります。。

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◎価格 1ケース 約10kg 等級・緑秀 サイズ・2L(約58個入り) ¥3480- です。
かんきつ類も品種は豊富です。鮮やかな果皮も特徴の柑橘を是非ご賞味下さいませ。

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書評 『第6の大絶滅は起こるのか-生物大絶滅の科学と人類の未来』

▼書評 『第6の大絶滅は起こるのか-生物大絶滅の科学と人類の未来』

第6の大絶滅第6の大絶滅は起こるのか-生物大絶滅の科学と人類の未来

著者 ピーター・ブラネン
訳者 西田 美緒子
出版社 築地書館
発行 2019 02/28







《大量絶滅は地球の歴史上で数えるほどしか起きていないのだから、史上最悪の出来事。あらゆる条件が揃う、あらゆる条件が整う、そうすると大量絶滅につながる》
《現在、地球上で暮らす陸生生物のうち、野生生物は何パーセント??》

本書は、惑星科学を専門とするジャーナリストによる壮大なテーマに迫った意欲作です。フォーブス、NYタイムズ、ボストン・グローブ、ガーディアン紙など各紙絶賛の書籍でもあり、この春に一押し本です。そもそも地球の誕生以来、全域にわたる突然の大量死によって動物の命がほとんど失われてしまったことが、これまでに5回ありました。いわゆる「五大絶滅」で、一般的な定義によれば、大量絶滅とは地球上の半数を超える種が、およそ100万年のあいだに絶滅した出来事を示します。

著者は、地質学、古生物学、宇宙学、地球物理学者などと直接会い、実に興味深い洞察力と緊迫感で読み手を惹きつけていきます。そこで、著者は

人間が地質学的規模でこの惑星をひどく混乱させているという考えは、人間中心の思い上がりにすぎないのかという感情が、とくに科学に詳しくない人々のあいだで存在するといいます。だが、そのような感情が生まれるのは、生命の歴史を見誤っているからだといます。

人間にはきっと、カンブリア爆発の濾過摂食動物と同じくらい重要性はあるだろう

というのです。とはいえ、過去3億年間で最も重要な3回の大量絶滅は、いずれも大陸全域を覆うほど大規模な溶岩の流出によって起きています。つまり、ボク達の想像を絶するほどの大噴火が原因でした。しかし、もう一つの大絶滅の場合プレートテクトニクス、そしておそらく生態そのものの、さまざま要素が重なりあって二酸化炭素を吸い上げ、海を汚染したという説を唱える地質学者もいるくらいです。それでは、過去の五大絶滅をおさらいしておきましょう!!

①オルドビス紀末【4億4500万年前】 現在のアパラチア山脈を生み出す大規模な造山活動が始まったのがこのオルドビス紀末になります。えっ、アパラチア山脈が大絶滅の要因かも?!
②デボン紀後期の大絶滅【3億7400万年前、3億5900万年前】
③ペルム紀末の大絶滅【2億5200万前】
④三畳紀末の大絶滅【2億100万年前】
⑤白亜紀末【6600万年前】

です。上述の五大絶滅の中でも、ボクが注目したのが「デボン紀末の大絶滅」です。何しろその長さだ。2000万年~2500万年にわたって起きた出来事だから想像を絶する。また、小職のような農業を生業とするものにとっては、「植物が縦に伸びる段階に達した」のがデボン紀中期だから、注目に値しよう。全体を支える繊管束組織を発達させて、木々は日光を受けて互いを押しのけながら、競うように林冠の一番上を目指したのもこの頃だ。その陸上に進出した樹木が引き起こした危機は「富栄養化」が原因と思われ、現在では藻類ブルーム(藻類大発生)と重なっているから尚のこと興味が引かれた。

さらには、デボン紀の最後に起きた大量絶滅は、大型でカリスマ的な脊椎動物の大規模な死滅、他の大量絶滅は無脊椎動物やプランクトンに対する影響によってのものなので、やはりデボン紀末は特筆に値するとボクは思います。しかも、脊椎動物の96%を消し去っており、さもありなんです。つまりは、現状デボン紀後期の危機には、とても多くの要因があるという。たとえば、樹木の広がり、氷河作用、火山活動、富栄養化と海の酸素欠乏、侵入種、そのほかの要素によって、地球システムの循環が急角度に変化したのです。まさに、あらゆる条件が揃う!!あらゆる条件が整うです。五大絶滅の殺しのメカニズムは、是非本書でご確認下さいませ。

また、「大量絶滅」とは、どのようなものか??をペルム紀末で考察することができよう。それが「シベリアトラップ」=「洪水玄武岩」であります。洪水玄武岩がロシアの500万平方キロメートル以上の地域を覆いシベリアを混乱状態に陥れ、さらには米国本土全体を800メートルの厚さで埋めつくす量の溶岩が噴出したのだ。このシベリアトラップは、古生代のあいだ何億年もの歳月をけて蓄積された膨大な量の石炭、石油、天然ガスを経済的動機がなかったにせよ、燃やしました。

現在、人類は一年に40ギガトンという信じられない量の二酸化炭素を排出しており、おそらくこの数字は地球史の過去3億年で最速のペース。いやいやペルム紀末は、人類が燃やせる量の2倍から、計り知れない4万8000ギガトンまでの範囲と推測されています。その結果気温は最大16℃も上昇したといいます。熱帯地域では海水温が現在と同じくらいの25℃から、40℃へと上昇した可能性もあるそうです。

そして、ペルム紀末から学べる最大の点が、海洋の酸性化です。ペルム紀末の海で最も重要な死の要因が酸性化であったのです。現在海水の酸性化によって、2050年までには、南氷洋全体で翼足類の棲めない場所になり、生態系は破滅的な状態になるといわれております。また、ある画期的な研究によれば、一年に2ppmづつの割合で大気中の二酸化炭素濃度を高めていて、世界のサンゴ礁は今世紀半ばまでに「急速に崩壊してがれきの山」となるとも。

忘れてならないのは、

ボク達がサンゴ礁を消滅させのにはたった数十年しかかからないかもしれないが、三畳紀末の大絶滅が何らかの指針となるとすれば、これらの生態系がもとに戻るには、数十年や数百年、数千年でもなく、数百年という年月を必要とする

その他にも、白亜紀末の大絶滅の論争の的が「チクシュルーブ」への小惑星衝突ですが、マグニチュード11に匹敵し、それが世界のどこにある火山でも噴火を誘発した可能性など新たな見解も読み応えたっぷりです。

現在、ボク達が生きている世界。平均気温が1℃上昇しただけで、50年に一度の大雨、50年に一度の台風などをメディアで取り上げられますが、これから起こるであろう「パンゲア」の再形成など地球の未来へと本書では綴られております。

ボクは本書を読了し、環境問題を考えずにはいられませんでした。現在、地球上で暮らす陸生生物のうち、野生生物は僅か3%しかいません。人間、人間が飼っている家畜、そして、ペットが生物量の残る97%を占めているそうです。

最後に本書において、英国の地質学者アンソニー・ハラム氏の言葉がすごく印象に残りました。

「自然と調和した高潔な未開の暮らしという概念は、本来の神話の領域に送り戻すべき。人間は自然と調和して暮らしたためしがない」

と。ページを読み進めれば、ノンストップでご一読いただけるサイエンス・ノンフィクション本です。皆さんも是非、手に取って下さいませ。

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