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旬のフルーツリレー便

2017年01月

書評 『気候変動クライシス』


▼書評 『気候変動クライシス』

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著者 ゲルノット・ワグナー/マーティン・ワイツマン
訳者 山形 浩生
出版社 東洋経済新報新社
発行 2016 09/08

《地球号の行く末は???》
昨年は、統計開始以来初となる東北の太平洋側からの台風の上陸がありました。さらには、北海道に一年に少なくとも3度台風上陸と。近年では、気象に関するニュースは、〝50年に一度〝、〝観測史上初〝となる、なんてかなりの頻度で耳にするようになりました。このような気候の出来事は、本書の第一章に見事にまとめられてあるとおり、他国でもこの10年~30年単位でみれば、非常に顕著です。

さて、著者のひとりワイツマンは、MITの経済学者であり、環境分野では最もノーベル賞に近い候補だということです。その著者らが本書の冒頭で2つの質問を投げかけます。

①:気候変動は急を要する問題ですか?
②:世界が化石燃料依存から抜け出すのは難しいと思いますか?

本書での答えは、どちらも Yes である。
気候変動の問題を難しくしている4つの問題があります。
①:究極のフリーライダー問題(気候変動は世界的だということ)
②:長期性 (北極海の氷は過去たった30年で、すべての面積の半分を失ったが)
③:不可逆性 (気候変動は逆転不能という点)たとえば、過剰な二酸化炭素の3分の2は、100年後も、まだ大気中にある)
④:不確実性 (わかっていないことがわかっていること、わかっていないことがわかっていないこと)

上述のビック4問題を経済の専門家らしく、リスク管理手法を用いて解説されております。3.11東日本大震災後に、我が国には47年都道府県よりも原発の数が多かったと初めて知ったわけですが、人類は、ただただこのエネルギー問題を傍観していなかったのも事実です。例えば、全世界の太陽光発電は、2010年に比べ140倍も増えております。また、最新の研究報告ではSCIENTIFIC AMERICAN が10大イノベーションに大気から二酸化炭素を吸い出して発電する燃料電池が選ばれました。(化石燃料を多少でも減らす)それでも、本書によれば1.5~4.5℃は世界の平均気温は今後上昇するとの結論です。さらに、6℃の上昇の確率は、10にひとつ すなわち、10%です。

ここで、非常に初歩的な経済学です。マイホームをお持ちであれば、きっと火災保険にご加入されているでしょう万一に備えて。そう、万が一なのです。今後、世界の平均気温6℃上昇の確率は、??%となるわけです。人類はこれまでに大気中に約9400億トンもの二酸化炭素を排出してきました。今なお、増加中です。その結果、旱魃、砂漠化、巨大ハリケーン、海洋の酸性化etc.。枚挙にいとまがありません。

では、人類はどうすれば良いのか??真っ先に「炭素税」の導入です。スウェーデンでは1991年に開始されております。また、キャップアンドトレードも欧州の一部でもはじまっております。さらには、これ以上のカタストロフ(大災厄)を減らすために、ジオエンジニアリングの考えもあります。

ジオエンジニアリングという考えは、フィリピンのピナツボ火山が1991年に噴火した際、約2年ほど世界の平均気温は、0.5℃ほど一時的であるが下がりました。よって、小さな人工粒子を地球の成層圏に注入し、一種の日よけにしようと「ジオエンジニアリング」という処方についも議論されておりますが、著者たちは、極めて批判的です。その理由(わけ)の一つが、前述の噴火で一時的に気温は下がりましたが、結局炭素汚染の直接的な影響を減らすには一切貢献しなかったことです。

すぐにでも、炭素税を導入し、ジオエンジニアリングの暴走を食い止めようというのが本書の趣旨ですが、気候変動は人類70億人に責任があり、敵はわれわれであり、われわれ全員にあることは事実です。
第7章には、「あなたにできること」として炭素税の他に具体的な記述もありますが..

気候変動のリスクに関心があるすべての人におススメの書籍です。

書評 『クモの糸でバイオリン』

▼書評 『クモの糸でバイオリン』

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著者 大﨑 茂芳
出版社 岩波書店(岩波科学ライブラリー)
発行 2016 10/05


《クモは環境のバロメーター》
クモ好き教授が長年の夢であった、タイトル通りの「クモの糸でバイオリンを弾く」その一連の奮闘記である。趣味から転じての研究報告に読了後は、爽快な気分になりました。

クモの進化は4億年、著者のクモとのお付き合いは40年にもなるという。本書の前半部分では、クモの雑学だ。実はクモの巣の糸には7種類ありそれぞれ最適化で役目を果たしています。①:枠糸、②:繋留糸、 ③:縦糸、④:横糸、⑤:こしき、⑥:附着盤、⑦:牽引糸である。⑦の牽引糸はクモがぶら下がる糸のことである。この糸は、クモの体重により強度も違い、弾性限界強度はいつもそのクモの体重の2倍で、なおかつ2本存在します。

1本は平常時用、さらにも一本は緊急時用すなわち〝ゆとり〝です。これを著者は「『2』の安全法則」と呼んでいます。ボク達の日々の生活行動にも如実に反映されております。たとえば、非常時に備えて家の出入り口は2カ所設ける。プロ野球選手は遠征の際に、2グループに分かれ別のルートで遠征先にむかうetc..です。

水を吸っては縮み、600℃になるとクモの糸は完全に分解することもわかりました。さらには、その温度からクモの巣の糸は、昼行性と夜行性では〈紫外線〉による影響の違いも判明しました。昼行性のクモの糸は紫外線によって強化され、夜行性のクモの糸は劣化しやすく次の餌となる昆虫たちの捕獲に備えていたのです。ここでも、余計な体力を使用しない最適化です。

そんな著者の奮闘記は、まずは著者自身がクモの糸のハンモックの乗り成功し、さらには124㎏の学院性が乗り見事クリア!!テレビ局のバラエティ番組の後押しもあり、遂には2トントラックに6人乗った紐で動いたという驚異的な報告もされています。

そして、音楽の世界へ。まずは、実際著者自身がバイオリンを購入し、その原理を知ることからはじまります。現行のバイオリンの弦とクモの糸の弦では決定的な違いがありました。それは、最密充塡構造です。現行のバイオリンの弦は、ナイロン弦が使用されており、その断面には30%の隙間が存在しており、そのため引っ張ると弱い繊維から切れていきます。他方、クモの糸の弦は、円柱ではなく角柱で隙間がありませんので強度になり、高音も出たといいます。

音楽の世界へ足を踏み入れ約6年。遂に学術発表です。本書の最終章では、論文投稿の奮闘記が記されております。著者の嬉しさが滲み出ています。米国物理学会誌(フィジカル・レビュー・レターズ)に投稿したのですが、その結果は・・

著者は述べています。「多くの人が受け入れないことこそ、挑戦に値するのです。挑戦が成功してしまえば、他人の見方が180度変わることがある」と。

最後に著者は「クモ」に感謝しておりますが、夢に挑む姿勢や感謝の心を再認識させられた書籍となりました。名器「ストディバリウス」を超える音色を奏でる、クモの糸でのバイオリンを受注生産される日は来るのでしょうか??

おわりに・・「クモ」は煙草の煙で大暴れします。そのことから、車の排気ガスや工場の煤煙などの発生地域には、生存が脅かされるため棲みつかなくなります。

書評 『脳はなぜ都合よく記憶するのか』

▼書評 『脳はなぜ都合よく記憶するのか』-記憶科学が教える脳と人間の不思議

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著者 ジュリア・ショウ
訳者 服部 由美
出版社 講談社
発行 2016 12/13

《人は誰でも欠陥のある刑事になる、記憶の記録のものがたり》
人生80年、いや100年時代ともいわれております。これからどんな記憶を積み重ねていくのかと読了しました。年老いた時に思い出すのは、10~30歳の記憶が人生で一番残るらしいです。人はホギャーと産まれ、幼い頃ベビーメディアを一時間増やすごとに6~8個知っている言葉が減っていることも解りました。因みに、脳の大きさが成人の大きさになるのは、13歳前後。脳の大きさと記憶力が見事に一致するそうです。

そんな記憶にまつわる物語の著者は、記憶のエラーいわゆる「豊かな過誤記憶」を研究する世界でも数少ない研究者で、警察の研修や犯罪者の更生のプログラムにも関わっています。

しかし、人間の記憶というものはあいまいなものである。一般的に3年以内の出来事は実際より前だと思い、3年以上前の出来事は実際より最近だと感じるらしい。このバイアスが起こる境目は3年前後らしいです。また、人は自分の記憶には〝過信〝しがちであり、DNA鑑定に限った事件の話だけでも、ある団体は337名を保釈し、彼らは犯してもいない罪のために平均して14年間、刑務所に収容されていたという。実に75%もが誤った記憶で有罪にされていたのだ。

9.11アメリカ同時多発テロ、3.11東日本大震災という「フラッシュバルブ記憶」でさえ、人が考えるほど記憶が強くもなく、長く変わらないものでもないといのが本書の結論です。

上述したように「人は記憶を忘れる動物である」と聞けば何やらスッキリします。何故なら観るもの観るもの記憶がフラッシュバックすれば、前に進んで生きていけなくなります。しかし、人間カレンダーと呼ばれる「非常に自伝的記憶を持つ人」も本書によれば、現在世界で58名も確認されているそうです。テストなどの記憶の記憶力ではなく、あくまでも自伝的記憶です。

人の記憶にはニューロンが関係しています。すなわち、「覚えれば忘れる」のです。そのニューロンの目的は互いに結びつき、脳を形づくることに他なりません。分離されたニューロンはすぐさまネットワークを作ろうと別のニューロンを探しはじめます。そのため樹上突起を伸ばし、シナプスを増やします。シナプスで起こる変化が、人に記憶の形成を変えていたのですね。さらには、長期記憶には「プリオン」が関係し、このたんぱく質は他のたんぱく質と全く異なるものであると2015年の研究論文で詳しく発表されました。

著者は、〈記憶のハッカー〉。「私は起こっていないことを起こったと信じ込ませる」。研究所でそういった記憶を生じさせることで、記憶の幻想の仕組みを解明することを使命としています。そんな著者による、誤った記憶を減らせる研究にまずは、「睡眠」があります。アクティブシステム固定説というもので、睡眠は記憶を固定し、ニューロン間の結びつきを繰り返し、経験を再生させ、記憶を長持ちさせる効力があるそうです。

その他、SNS(ソーシャルネットワーク)の記憶への影響や記憶にまつわる研究報告が盛りだくさんです。記憶のシステムを理解し、今という時の最高の瞬間をかみしめ、人生をより良いものにしましょう!!

記憶の記録の物語、平易な事例で配慮され一般読者でも読みやすいです。是非手に取って下さいませ。

最新・農業経済


昨年は、秋の長雨のため野菜の価格が高騰しボクが記憶している限りでは、大根や
白菜の品不足がこれほどまでに顕著になったシーズンはありませんでした。

お歳暮シーズンの「長いも」なども品不足、そこでふっと思う。確かに我が国では、少子
高齢化時代に突入し国内での需要不足に陥る可能性もあるが、それよりも農家の高齢化の
スピードの方が速く、供給不足のスピードが国内の需要不足を上回るペースと。


◎シンガポールや香港の富裕層が需要を支える「日本の高級・フルーツ」
貿易統計によると、2016年のりんごの輸出量は2万5628トンと過去最高だった
2015年実績に並ぶ高水準だったそうだ。
りんごだけではありません。福岡県産のいちご「あまおう」も 新興アジア市場が近距離
のため2015年の輸出量は87トンと過去最高を更新しました。さらには、ぶどう
「シャインマスカット」が牽引役となり、山梨県産の2015年度のぶどう全体の輸出量
が過去最高を記録しております。

上述した現状は、安倍政権の掲げる『農産物輸出は地方創生の原動力』になっておりますが、
冒頭で述べたように、拡大する青果物輸出に応じきれない現実。
その理由(わけ)は、皮肉に国内農家の高齢化という日本農業の課題を露呈していたのです。 

これを、AI(人工知能)やロボット工学で対応していくのか、産官学連携の技術進歩
がひとつの解決策の鍵になるのではないでしょうか。 

◎シャインマスカットバブル!!
通常の経済の原理を覆す「シャインマスカットバブル」。今月の5日、都内某百貨店の
青果物コーナーでは、ぶどう「シャインマスカット」が一房約750g¥5800-
で販売されていたという。食通のアジア圏の訪日外国人が購入していくそうだ。

2006年に農業・食品産業技術総合研究機構が品種登録し、この品種は種無しで、
皮ごと食べられる手軽さもあり長野県内でも栽培面積が拡大の一途です。
長野県農政部によれば、ぶどう「シャインマスカット」の県内では栽培面積が15年度には
204ヘクタールに広がり、全国の都道府県で最大だそうだ。
昨年の11月には、“旬″の時期が過ぎたにかかわらず、卸売市場価格で5キロ¥8500-
と値が付く人気商品です。
 栽培が増えれば、通常は価格が下がるのだが。ここにも、輸出という需要があります。
日本国内でのインバンド景気は、いまや足踏み状態です。
この「シャインマスカットバブル」がいつまで続くか、注視したいと思います。 

愛媛・岩城島産のブランドレモン好評販売中!!


大寒を過ぎましたが、まだまだ冷え込みの厳しい信州です。

Mandarin
【イエローレモン】 愛媛県・岩城島産
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◆産地の特徴・・レモンとともに30年以上。瀬戸内海の青い空、青い海に囲まれた
愛媛県・岩城島は温暖な気候に恵まれお・い・し・いレモンの育つ自然豊かな島です。

岩城島産のブランド名:「青いレモン」とは、採れたて、“新鮮さ”の代名詞と言われております。
本来のレモンは熟しても青色。岩城島では、レモンの収穫時期が始まる秋から年内一杯
までが緑色のレモンが出荷され、年が明けますと⇑の写真のように黄色く色づきます。

「青いレモン」はいわぎ島で採れた新鮮なレモンは、防腐剤・ワックスを一切使っておりません。
よって水洗いするだけで皮まで安心して召し上がっていただけます。

P10116261袋 2玉入り 等級  整品 ¥160- です。






【栄養効果のこと】・・ビタミンCの含有量は、かんきつ類のなかでも最も多いとされ、免疫力を
高めて風邪の予防に効果的です。
また、動脈硬化を防ぐルチンや、利尿作用を高め、高血圧予防に有効なカリウムも含まれて
おります。
酸味のもとであるクエン酸は、疲労回復に効果を発揮すると言われております。

一年中出回る、レモンですがやはりお・い・し・い時期は冬。
是非ご賞味下さいませ。
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