ヴェルサイユ宮殿に暮らす著者 ウィリアム・リッチー・ニュートン 訳=北浦 春香
出版社 白水社
発行 2010 7/05
今月はクリスマス月間ということで、ロマンティックな書籍?を一冊セレクト。まずはじめに、ボク自身の意見であるが、白水社の書籍を購入し読み始めた際には、ぐいぐいと2日で読了することをお勧めしたい。読書家好みの表紙にカバーなど、他の出版社と比べると気合度が違う。だから読み終えたら、そっと本棚に仕舞う。
さて、パリから22キロメートル離れた場所に位置する世界遺産「ヴェルサイユ宮殿」には、一体どれほどの日本人が訪れたのだろう。ボクもその一人ではあるが、とにかく一瞬言葉を失う。その優雅さ・華やかさに・・・
お伝えするのが前後してしまったが、副題は「優雅で悲惨な宮廷生活」である。 それでは、宮廷を観ることにしよう。
端的に言えば、262室あるマンションなのだ。この宮殿には、王族用以外にトイレがなかったことは、良く知られている。その他貴族たちは、城館の片隅や、庭園で用を足したのだ。
一番読み進めていて悲惨なのは、1780年には城館に約29の汲み取り槽があったそうだが、鉛で封印された槽を開けたとたん、最初の蒸気で死者も出すほどの悪臭だったそうだ。当然、その槽を清掃する担当者も開けたわけだが、やはり死者を出している。
その悪臭が、今度は無数にある窓の洗濯物に移り、館内は大騒ぎ。もうここまで来ると、ヴェルサイユ宮殿の粗探しの様相を呈してきたが、著者は、ヴェルサイユ宮殿の専門の歴史家である。
当然水も汚く、巨大な庭園の噴水や運河も悪臭がひどかったそうだ。
食事について言えば、豪華な食事会でふんだんに出された食事は、残り物のおこぼれの要領で、たくさんのお腹を満たし最後は、なんと城館の外で小売商が町人に売っていたそうだ。今の日本で言えば、ホテルで行われた結婚式で出された食事の残りを、道行く人に売り歩くそんな感じだ。
ルイ14世が、貴族に襲われることを恐れ、この宮殿を造ったわけであるが、一番の功労者は建設部長であった。千人以上がひしめきあって暮らした「衣・食・住」の管理。本当にお疲れ様でした。

もう、イタリアはクリスマスムード一色だそうです。
