パリが沈んだ日 セーヌ川の洪水史 著 佐川 美加
出版社 白水社 ¥2,520-

 この夏、どれくらいの方が、円高・ユーロ安を利用しパリへ旅行へいったのだろうか?
 さて、過去、2度ほど、パリへ訪問した事のあるボクは、この事実をしらなかった。1910年、今年がパリ大災害から、100年目だったという事を本書は、2部で構成されている。

①まずは、河川地理学だ。たとえば、ノートルダム寺院の地質注状は、下層から第三紀石灰岩層、洪積層、沖積層、そして盛土。というようになっている。まるで、ここの章では、地質学が勉強できる。

②そして、1910年、パリがセーヌに沈む日が訪れる。20世紀初頭のパりは時代の最先端都市、すでに万国博覧会を5回も成功させ、5800もの街頭時計やエレベータ、カプセル電報など動かしていたという。
 1910年、1月19日にセーヌ川の支流が氾濫を起こし、始めた。
 さらには、1月20日には、船の航行が禁止された。となると、パリの1月は、当然、食料と燃料が、遮断されてしまうのだが、他の地域からの援助があり、この世紀の大洪水でなくなられた方は、なんとたった一人だったそうだ。
 1月21日、サンジェルマン通りが沈没し、25日にはモンテーニュ通りが、湖に、オルセー駅が、1メートル水没だ。この章を読んでいると、まるで映画を観ている感覚になる。
 また、この本のすばらしい、ところは、著者は、「パリ」という街を本当に愛していることだとボクは思う。

 セーヌ川の源泉のある村や、アルマ橋のズワーヴ像など。パリのいわば観光案内になっているところも粋なのだ。結論としては、増水した氾濫した支流が、パリに合流したため、沈没した。
 1991年、「パリのセーヌ川河畔、シュリー橋からイエナ橋まで」の間は、ユネスコの世界自然文化遺産に登録された。

 世界の宝、ルーブル美術館などは、現在、警察、環境省、内務省など、最新鋭のインターネットなどを駆使し、収蔵品移動マニュアルなどしっかりと整備されている。
 また、パリへ行きたくなってしまった。