▼書評 『武器になる-人生を勝ち抜くための哲学・思想キーコンセプト』
武器になる哲学-人生を勝ち抜くための哲学・思想キーコンセプト
著者 山口 周
出版社 KADOKAWA
発行 2018 05/18
圧倒的な知見と引き出し で読者を魅了する書籍?!小職は足元にも及びません。電通、ボストンコンサルティング・G等を経てコーン・フェリー・グループの現シニア・クライアントパートナーによる、まさに人生を生き抜くための指南書です。ともすれば、〝つまらない〝哲学という学問。著者はその点を、
からとバッサリです。その点本書は有用性を用い、時間軸の哲学書ではありません。さらにはナシーム・ニコラス・タレブ認識論者「反脆弱性」、アメリカの著名な神経学者アントニオ・ダマシオなども登場します。
ではなぜ、哲学なのか??①:状況を正確に洞察し、②:批判的思考のツボを学び、③アジェンダ(課題)を定め、④二度と悲劇を起こさないために、、これらを学ぶ上での哲学なのだと。SNSの弊害・活用、働き方改革の真の意味など自分自身の捉える好書です。なお、本書は4部構成になっており、①:「人」に関するキーコンセプト、②:「組織」に対するキーコンセプト、③:「社会」に関するキーコンセプト、④:「思考」に関するキーコンセプトとそれこそ有益な情報と時間と読者に与えてくれることと思います。
では、「社会」に関するキーコンセプトからピックアップしてみましょう!!アダム・スミスの「神の見えざる手」すなわち「最適な解」より「満足できる解」を求めよ が非常に参考になりました。
さる、クライアントから著者のもとに、郊外の大規模な研究施設のレイアウトについて相談されたそうです。その相談とはこの研究所の広大な中庭には 芝生 が植えられ、その周囲に講堂や寮など4つの建物が建てられました。問題は、芝生 をなるべく残すようにしながら建物を結ぶ歩道を施設したいと考えた場合。
オプティマルな解の場合は、調査を実施して4つの建物間の交通量を調べた上で、一定量以上の交通量があるルートについては歩道を施設する。すなわちグラフ理論を用いる。
著者による解は。芝生 を敷き、4つの建物を建てたあとで一年ほどそのままにしておく。そう、人の移動パターンに応じて芝生が少しづつはがれ、その部分だけ歩道を施設すればよいと。これがいわば「神の手」でありヒューリスティックな実用例になるわけです。
モノゴトの関連性がますます複雑になり、かつ変化のダイナミクスが強まっている現在のような社会においては、
理知的なトップダウン思考によって最適な解に到達することができると考えるのは知的傲慢を通り越して滑稽ですらあると。
ナシーム・ニコラス・タレブも同様な知的態度を「ソビエト=ハーバード幻想」と名付け、因果関係を明晰に把握できることを前提と科学的でトップダウンの思考法を「システムを脆弱にさせる」とバッサリと切り捨てているそうです。
また、オランダの社会心理学者のヘールト・ホフステードの「権力格差」とサルトルの事実上の妻であぅたシモーネ・ボーヴォワールの項から何を得られるか??我が国での組織人では、上司に異論を唱えることがを尻込みしている社員がしばしば多く観察されており、部下にとって上司が近づきがたく、面と向かって反対意見を述べることは、ほどんどありえない。その結果コンプライアンスの問題が顕著であり、むしろ自分に対する反対意見を積極的に探し求める態度が必要。さらには、日本は〈男性らしい社会〉で53カ国でTOP。対して、たとえばスウェーデンは最下位という結果になっています。安倍政権が「女性の活躍」を政策目標に掲げていますが、「挑戦的」な課題であるというのがわかります。ボーヴォワールが『第二の性』の作品に中で唱えたことから、何を窺え知りうるのか??日本が極めてジェンダーバイアスに支配され、尚且つそのバイアスにボク達自身が無自覚ということです。
その他 自己実現を成し遂げた人は、実は「人脈」が広くない 「自己実現的人間」を唱えた〈エイブラハム・マズロー〉、人が集団で何かをやるときには、個人の良心が働きにくい=「アイヒマン実験」からの権威への服従の捉え方、「いい奴だけど、売られたケンカは買う」という戦略=「ナッシュ均衡」を提唱した〈ジョン・ナッシュ〉、働き方改革の先にある恐ろしい未来は〈エミール・デュルケーム〉からなど人生を生きる抜くヒントを得ています。
小職は、二度三度となく読み返したいと思っています。
最後に未来を予測する最善の方法は、それを「発明」することだ。計算機科学者のアラン・ケイが述べた言葉ですが、未来を予測している時間があるのなら、未来をどうしたい を考えたいと思います。
哲学のワクワク感に有益な時間が得られる書籍です。是非、皆さんも手に取ってみて下さい。

著者 山口 周
出版社 KADOKAWA
発行 2018 05/18
圧倒的な知見と引き出し で読者を魅了する書籍?!小職は足元にも及びません。電通、ボストンコンサルティング・G等を経てコーン・フェリー・グループの現シニア・クライアントパートナーによる、まさに人生を生き抜くための指南書です。ともすれば、〝つまらない〝哲学という学問。著者はその点を、
古代ギリシャの哲学があまりにもつまらない
からとバッサリです。その点本書は有用性を用い、時間軸の哲学書ではありません。さらにはナシーム・ニコラス・タレブ認識論者「反脆弱性」、アメリカの著名な神経学者アントニオ・ダマシオなども登場します。
ではなぜ、哲学なのか??①:状況を正確に洞察し、②:批判的思考のツボを学び、③アジェンダ(課題)を定め、④二度と悲劇を起こさないために、、これらを学ぶ上での哲学なのだと。SNSの弊害・活用、働き方改革の真の意味など自分自身の捉える好書です。なお、本書は4部構成になっており、①:「人」に関するキーコンセプト、②:「組織」に対するキーコンセプト、③:「社会」に関するキーコンセプト、④:「思考」に関するキーコンセプトとそれこそ有益な情報と時間と読者に与えてくれることと思います。
では、「社会」に関するキーコンセプトからピックアップしてみましょう!!アダム・スミスの「神の見えざる手」すなわち「最適な解」より「満足できる解」を求めよ が非常に参考になりました。
さる、クライアントから著者のもとに、郊外の大規模な研究施設のレイアウトについて相談されたそうです。その相談とはこの研究所の広大な中庭には 芝生 が植えられ、その周囲に講堂や寮など4つの建物が建てられました。問題は、芝生 をなるべく残すようにしながら建物を結ぶ歩道を施設したいと考えた場合。
オプティマルな解の場合は、調査を実施して4つの建物間の交通量を調べた上で、一定量以上の交通量があるルートについては歩道を施設する。すなわちグラフ理論を用いる。
著者による解は。芝生 を敷き、4つの建物を建てたあとで一年ほどそのままにしておく。そう、人の移動パターンに応じて芝生が少しづつはがれ、その部分だけ歩道を施設すればよいと。これがいわば「神の手」でありヒューリスティックな実用例になるわけです。
モノゴトの関連性がますます複雑になり、かつ変化のダイナミクスが強まっている現在のような社会においては、
理知的なトップダウン思考によって最適な解に到達することができると考えるのは知的傲慢を通り越して滑稽ですらあると。
ナシーム・ニコラス・タレブも同様な知的態度を「ソビエト=ハーバード幻想」と名付け、因果関係を明晰に把握できることを前提と科学的でトップダウンの思考法を「システムを脆弱にさせる」とバッサリと切り捨てているそうです。
また、オランダの社会心理学者のヘールト・ホフステードの「権力格差」とサルトルの事実上の妻であぅたシモーネ・ボーヴォワールの項から何を得られるか??我が国での組織人では、上司に異論を唱えることがを尻込みしている社員がしばしば多く観察されており、部下にとって上司が近づきがたく、面と向かって反対意見を述べることは、ほどんどありえない。その結果コンプライアンスの問題が顕著であり、むしろ自分に対する反対意見を積極的に探し求める態度が必要。さらには、日本は〈男性らしい社会〉で53カ国でTOP。対して、たとえばスウェーデンは最下位という結果になっています。安倍政権が「女性の活躍」を政策目標に掲げていますが、「挑戦的」な課題であるというのがわかります。ボーヴォワールが『第二の性』の作品に中で唱えたことから、何を窺え知りうるのか??日本が極めてジェンダーバイアスに支配され、尚且つそのバイアスにボク達自身が無自覚ということです。
その他 自己実現を成し遂げた人は、実は「人脈」が広くない 「自己実現的人間」を唱えた〈エイブラハム・マズロー〉、人が集団で何かをやるときには、個人の良心が働きにくい=「アイヒマン実験」からの権威への服従の捉え方、「いい奴だけど、売られたケンカは買う」という戦略=「ナッシュ均衡」を提唱した〈ジョン・ナッシュ〉、働き方改革の先にある恐ろしい未来は〈エミール・デュルケーム〉からなど人生を生きる抜くヒントを得ています。
小職は、二度三度となく読み返したいと思っています。
最後に未来を予測する最善の方法は、それを「発明」することだ。計算機科学者のアラン・ケイが述べた言葉ですが、未来を予測している時間があるのなら、未来をどうしたい を考えたいと思います。
哲学のワクワク感に有益な時間が得られる書籍です。是非、皆さんも手に取ってみて下さい。
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