▼書評 『クモの糸でバイオリン』
クモの糸でバイオリン
著者 大﨑 茂芳
出版社 岩波書店(岩波科学ライブラリー)
発行 2016 10/05
《クモは環境のバロメーター》
クモ好き教授が長年の夢であった、タイトル通りの「クモの糸でバイオリンを弾く」その一連の奮闘記である。趣味から転じての研究報告に読了後は、爽快な気分になりました。
クモの進化は4億年、著者のクモとのお付き合いは40年にもなるという。本書の前半部分では、クモの雑学だ。実はクモの巣の糸には7種類ありそれぞれ最適化で役目を果たしています。①:枠糸、②:繋留糸、 ③:縦糸、④:横糸、⑤:こしき、⑥:附着盤、⑦:牽引糸である。⑦の牽引糸はクモがぶら下がる糸のことである。この糸は、クモの体重により強度も違い、弾性限界強度はいつもそのクモの体重の2倍で、なおかつ2本存在します。
1本は平常時用、さらにも一本は緊急時用すなわち〝ゆとり〝です。これを著者は「『2』の安全法則」と呼んでいます。ボク達の日々の生活行動にも如実に反映されております。たとえば、非常時に備えて家の出入り口は2カ所設ける。プロ野球選手は遠征の際に、2グループに分かれ別のルートで遠征先にむかうetc..です。
水を吸っては縮み、600℃になるとクモの糸は完全に分解することもわかりました。さらには、その温度からクモの巣の糸は、昼行性と夜行性では〈紫外線〉による影響の違いも判明しました。昼行性のクモの糸は紫外線によって強化され、夜行性のクモの糸は劣化しやすく次の餌となる昆虫たちの捕獲に備えていたのです。ここでも、余計な体力を使用しない最適化です。
そんな著者の奮闘記は、まずは著者自身がクモの糸のハンモックの乗り成功し、さらには124㎏の学院性が乗り見事クリア!!テレビ局のバラエティ番組の後押しもあり、遂には2トントラックに6人乗った紐で動いたという驚異的な報告もされています。
そして、音楽の世界へ。まずは、実際著者自身がバイオリンを購入し、その原理を知ることからはじまります。現行のバイオリンの弦とクモの糸の弦では決定的な違いがありました。それは、最密充塡構造です。現行のバイオリンの弦は、ナイロン弦が使用されており、その断面には30%の隙間が存在しており、そのため引っ張ると弱い繊維から切れていきます。他方、クモの糸の弦は、円柱ではなく角柱で隙間がありませんので強度になり、高音も出たといいます。
音楽の世界へ足を踏み入れ約6年。遂に学術発表です。本書の最終章では、論文投稿の奮闘記が記されております。著者の嬉しさが滲み出ています。米国物理学会誌(フィジカル・レビュー・レターズ)に投稿したのですが、その結果は・・
最後に著者は「クモ」に感謝しておりますが、夢に挑む姿勢や感謝の心を再認識させられた書籍となりました。名器「ストディバリウス」を超える音色を奏でる、クモの糸でのバイオリンを受注生産される日は来るのでしょうか??
おわりに・・「クモ」は煙草の煙で大暴れします。そのことから、車の排気ガスや工場の煤煙などの発生地域には、生存が脅かされるため棲みつかなくなります。

著者 大﨑 茂芳
出版社 岩波書店(岩波科学ライブラリー)
発行 2016 10/05
《クモは環境のバロメーター》
クモ好き教授が長年の夢であった、タイトル通りの「クモの糸でバイオリンを弾く」その一連の奮闘記である。趣味から転じての研究報告に読了後は、爽快な気分になりました。
クモの進化は4億年、著者のクモとのお付き合いは40年にもなるという。本書の前半部分では、クモの雑学だ。実はクモの巣の糸には7種類ありそれぞれ最適化で役目を果たしています。①:枠糸、②:繋留糸、 ③:縦糸、④:横糸、⑤:こしき、⑥:附着盤、⑦:牽引糸である。⑦の牽引糸はクモがぶら下がる糸のことである。この糸は、クモの体重により強度も違い、弾性限界強度はいつもそのクモの体重の2倍で、なおかつ2本存在します。
1本は平常時用、さらにも一本は緊急時用すなわち〝ゆとり〝です。これを著者は「『2』の安全法則」と呼んでいます。ボク達の日々の生活行動にも如実に反映されております。たとえば、非常時に備えて家の出入り口は2カ所設ける。プロ野球選手は遠征の際に、2グループに分かれ別のルートで遠征先にむかうetc..です。
水を吸っては縮み、600℃になるとクモの糸は完全に分解することもわかりました。さらには、その温度からクモの巣の糸は、昼行性と夜行性では〈紫外線〉による影響の違いも判明しました。昼行性のクモの糸は紫外線によって強化され、夜行性のクモの糸は劣化しやすく次の餌となる昆虫たちの捕獲に備えていたのです。ここでも、余計な体力を使用しない最適化です。
そんな著者の奮闘記は、まずは著者自身がクモの糸のハンモックの乗り成功し、さらには124㎏の学院性が乗り見事クリア!!テレビ局のバラエティ番組の後押しもあり、遂には2トントラックに6人乗った紐で動いたという驚異的な報告もされています。
そして、音楽の世界へ。まずは、実際著者自身がバイオリンを購入し、その原理を知ることからはじまります。現行のバイオリンの弦とクモの糸の弦では決定的な違いがありました。それは、最密充塡構造です。現行のバイオリンの弦は、ナイロン弦が使用されており、その断面には30%の隙間が存在しており、そのため引っ張ると弱い繊維から切れていきます。他方、クモの糸の弦は、円柱ではなく角柱で隙間がありませんので強度になり、高音も出たといいます。
音楽の世界へ足を踏み入れ約6年。遂に学術発表です。本書の最終章では、論文投稿の奮闘記が記されております。著者の嬉しさが滲み出ています。米国物理学会誌(フィジカル・レビュー・レターズ)に投稿したのですが、その結果は・・
著者は述べています。「多くの人が受け入れないことこそ、挑戦に値するのです。挑戦が成功してしまえば、他人の見方が180度変わることがある」と。
最後に著者は「クモ」に感謝しておりますが、夢に挑む姿勢や感謝の心を再認識させられた書籍となりました。名器「ストディバリウス」を超える音色を奏でる、クモの糸でのバイオリンを受注生産される日は来るのでしょうか??
おわりに・・「クモ」は煙草の煙で大暴れします。そのことから、車の排気ガスや工場の煤煙などの発生地域には、生存が脅かされるため棲みつかなくなります。
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