■書評 言語が違えば、世界も違って見えるわけ
言語が違えば、世界も違って見えるわけ
著者 ガイ・ドイッチャー
訳者 椋田 直子
出版社 インターシフト
発行 2012 12/05
一時話題となった社内公用語に英語を採用する企業。楽天、ユニクロ、サイバーエージェントetc..
しかし元日本マイクロソフト初代社長の成毛眞氏の著「日本人の9割に英語はいらない」と説く。
もし学習するのなら国際法を薦めるという。皆さんはどうお感じになられるでしょうか?そこで本書である。
さて本題に移ろう。本書によれば現在、世界に6000前後あるとされる言語の約半分は、2~3世代のうちに消える可能性が高いという。ボクが察するには、世界の都市化の波が進み、アフリカやアマゾンの部族がどんどん都市へ流入しその結果、言語が消滅するということも一理あると思う。貧困からの脱却とグローバル化の波である。
実は、ボク達が利用している言語には2つの顔を持つ。公の役割を担う時の言語は、言葉によるコミュニケーション。もうひとつは、話をしてそれぞれが心に取りこんでいた体系である。本書では、色彩、空間、ジェンダーの3つの事例を用いてボク達の「母語」がどう取りこんできたのか、その体系を見事に描いている。
まずは、色彩。どの言語も黒・白次いで赤が生まれる。ここからが論争である。とりわけ青はダークブルーやライトブルーと単純に青と表現しないロシア語。日本では子どもに聞かれる信号のあの青である。言語によって細部に表現が異なるのがこの青である。日本政府は、現実に合わせるのではなく限りなく色に近づけることを国際基準をもとに「青色」に信号の色を採用している。しかし、言語によっては青と緑の区別もない言語もあるという。
これを物理学者は、色彩スペクトルの連続尺度と見る。
そして、本書で一番の盛り上がりを見せるのが「自己中心座標軸」と「空間座標軸」である。ボク達が普段何気なく当たり前に使用しているのが「自己中心座標軸」。オーストラリアのグーグ・イミディル語は「東西南北」で表現する。例えばテーブルから少し下がってほしい時は「少し西へ動いてくれと」いう。「ちょっとそっちへ」とは言わないのだ。座標軸が常に「東西南北」に固定されているため「右手」「左手」も西側の手と表現するから驚きだ。
結果として物のあった位置など記憶のあり方さえ異なってくる。ご興味のある方は簡単な問題形式が本書に記述されているので参考にされたい。
最後はジェンダーだ。これは元来「種類」「類」を意味していた言葉だが、時代が下って男性名詞と女性名詞となっていく。それがヨーロッパ諸国では顕著である。非常に対照的なのがドイツ語とスペイン語だ。
例えばドイツ語では、時計、アパート、フォークetc..は女性名詞だが、スペイン語では男性名詞だ。
そういった意味では英語は「he」「she」「it」とこれらの代名詞は概して使い分けが平明である。やはり他言語を習得しやすいのは英語になるのであろうか。
結局のところ著者は、最終的に「脳科学」に繋がると結論づける。これからまだまだ新たな研究成果が出てくるであろう。さて、当園の常連のお客様でイタリア在住のバイリンガルの少女は、この世界をどう感じているのであろうか?
「目は口ほど物を言う」という諺がある。次は「目」に関する書籍だ!!

著者 ガイ・ドイッチャー
訳者 椋田 直子
出版社 インターシフト
発行 2012 12/05
一時話題となった社内公用語に英語を採用する企業。楽天、ユニクロ、サイバーエージェントetc..
しかし元日本マイクロソフト初代社長の成毛眞氏の著「日本人の9割に英語はいらない」と説く。
もし学習するのなら国際法を薦めるという。皆さんはどうお感じになられるでしょうか?そこで本書である。
さて本題に移ろう。本書によれば現在、世界に6000前後あるとされる言語の約半分は、2~3世代のうちに消える可能性が高いという。ボクが察するには、世界の都市化の波が進み、アフリカやアマゾンの部族がどんどん都市へ流入しその結果、言語が消滅するということも一理あると思う。貧困からの脱却とグローバル化の波である。
実は、ボク達が利用している言語には2つの顔を持つ。公の役割を担う時の言語は、言葉によるコミュニケーション。もうひとつは、話をしてそれぞれが心に取りこんでいた体系である。本書では、色彩、空間、ジェンダーの3つの事例を用いてボク達の「母語」がどう取りこんできたのか、その体系を見事に描いている。
まずは、色彩。どの言語も黒・白次いで赤が生まれる。ここからが論争である。とりわけ青はダークブルーやライトブルーと単純に青と表現しないロシア語。日本では子どもに聞かれる信号のあの青である。言語によって細部に表現が異なるのがこの青である。日本政府は、現実に合わせるのではなく限りなく色に近づけることを国際基準をもとに「青色」に信号の色を採用している。しかし、言語によっては青と緑の区別もない言語もあるという。
これを物理学者は、色彩スペクトルの連続尺度と見る。
そして、本書で一番の盛り上がりを見せるのが「自己中心座標軸」と「空間座標軸」である。ボク達が普段何気なく当たり前に使用しているのが「自己中心座標軸」。オーストラリアのグーグ・イミディル語は「東西南北」で表現する。例えばテーブルから少し下がってほしい時は「少し西へ動いてくれと」いう。「ちょっとそっちへ」とは言わないのだ。座標軸が常に「東西南北」に固定されているため「右手」「左手」も西側の手と表現するから驚きだ。
結果として物のあった位置など記憶のあり方さえ異なってくる。ご興味のある方は簡単な問題形式が本書に記述されているので参考にされたい。
最後はジェンダーだ。これは元来「種類」「類」を意味していた言葉だが、時代が下って男性名詞と女性名詞となっていく。それがヨーロッパ諸国では顕著である。非常に対照的なのがドイツ語とスペイン語だ。
例えばドイツ語では、時計、アパート、フォークetc..は女性名詞だが、スペイン語では男性名詞だ。
そういった意味では英語は「he」「she」「it」とこれらの代名詞は概して使い分けが平明である。やはり他言語を習得しやすいのは英語になるのであろうか。
結局のところ著者は、最終的に「脳科学」に繋がると結論づける。これからまだまだ新たな研究成果が出てくるであろう。さて、当園の常連のお客様でイタリア在住のバイリンガルの少女は、この世界をどう感じているのであろうか?
「目は口ほど物を言う」という諺がある。次は「目」に関する書籍だ!!
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