■書評 閉じこもるインターネット -グーグル・パーソナライズ・民主主義
閉じこもるインターネット
著者 イーライ・パリサー
訳者 井口耕二
出版社 早川書房
発行 2012 02/25
2012.05.19 遂に若き天才マイケル・ザッカーバーグ率いるフェイスブックが上場した。しかし、ユーロ問題等あったかもしれないが、市場はやや冷やかでグーグルに見劣りする初値だった。
さて、本書のタイトルに疑問符が付き、今日はこの書籍をセレクト。
世界は、インターネットによってフラットになり自由でパブリックでオープンの場。それがかつてインターネットの草創期の目指したものであった。
《ネズミであることをやめよう》これが本書の主旨である。
本書によればネズミは食べ物を探す際、歩く範囲が3メートルに集中し、1日30回もそこに戻るそうだ。
この状況がネットの世界では起こっているのだ。たとえば、ボクはアマゾンを利用して書籍を購入しているが、今年医療に関する書籍を5冊購入したが、検索をすると「この商品を買った人はこんな商品を買っています」と表示される。5冊も買えば、その後登録メールに医療に関する新書案内のメールが届く。そうユーザーどこにその人に合った情報を表示する仕組みが広がっていることが、昨今の研究者の間で採り立たされている。
これは、グーグルにも当然いえるのだが、自分にカスタマイズされた情報を選別するフィルターによって人々が「フィルターバブル」という空間に閉じこまれてしまうと著者は本書で懸念している。
そして、本年1月にグーグル社は自社サービスのプライバシーを一本化し、ユーザーの情報を横断的にすると発表した。その結果「ググる」とその言葉の傾向からその人にマッチした仕組みをユーチューブなどにも利用できることとなった。よってネットで検索する度に、ボク達は追跡されるようになっているのである。
これは、もう皆さんも肌で感じていることと思う。
驚くべきは、米・アクシオムという会社だ。1人あたり1500項目もの個人情報を保有しており、米国人の約96%、世界の5億人をカバーし家族の名前やクレジットカードの支払頻度、常備薬まで含まれる。これらの情報がなんとマイク秒単位で競り落とされているのが、ネットの現状だ。
よってグーグル社などにとっては、ユーザーのネット上での行動がもはやコンテンツ化しているのだ。
さて、ここからが更なる問題だ。前述したネズミのような行動をしたら、好奇心の欠如などが当然考えられる。
また新たな革新的なアイデアや出会いも従来より格段に減ることも予想される。
では、それを打破するのは、何なのだろうか?ボク達個々の「思索」である。アンテナの本数を増やすこと。
物事を多面的に捉えることだろう。技術は良い面でも悪い面でもその力は拡大しスピードを増している。
もしかするとPCを開かない日が一日あってもいいかもしれない?
そして、この5月最新のデータでは、世界のウェブブラウザ市場はグーグルのChromeが、マイクロソフトのIEをおさえて初めて世界NO.1となった。
何かと話の豊富な米・アップル社もあるが、ボク個人としてはグーグル社の動向のほうが気になる。
それにしても、ITバブルがはじけても、アクシオム社のように雨後の竹の子ように次から次へと日本の数歩先を行く名も知れない会社がいくつか紹介されていて、シリコンバレーの環境だけでは、決して言い表せない強さを感じた。
最先端のネット社会を知るうえでも参考になる書籍でした。

著者 イーライ・パリサー
訳者 井口耕二
出版社 早川書房
発行 2012 02/25
2012.05.19 遂に若き天才マイケル・ザッカーバーグ率いるフェイスブックが上場した。しかし、ユーロ問題等あったかもしれないが、市場はやや冷やかでグーグルに見劣りする初値だった。
さて、本書のタイトルに疑問符が付き、今日はこの書籍をセレクト。
世界は、インターネットによってフラットになり自由でパブリックでオープンの場。それがかつてインターネットの草創期の目指したものであった。
《ネズミであることをやめよう》これが本書の主旨である。
本書によればネズミは食べ物を探す際、歩く範囲が3メートルに集中し、1日30回もそこに戻るそうだ。
この状況がネットの世界では起こっているのだ。たとえば、ボクはアマゾンを利用して書籍を購入しているが、今年医療に関する書籍を5冊購入したが、検索をすると「この商品を買った人はこんな商品を買っています」と表示される。5冊も買えば、その後登録メールに医療に関する新書案内のメールが届く。そうユーザーどこにその人に合った情報を表示する仕組みが広がっていることが、昨今の研究者の間で採り立たされている。
これは、グーグルにも当然いえるのだが、自分にカスタマイズされた情報を選別するフィルターによって人々が「フィルターバブル」という空間に閉じこまれてしまうと著者は本書で懸念している。
そして、本年1月にグーグル社は自社サービスのプライバシーを一本化し、ユーザーの情報を横断的にすると発表した。その結果「ググる」とその言葉の傾向からその人にマッチした仕組みをユーチューブなどにも利用できることとなった。よってネットで検索する度に、ボク達は追跡されるようになっているのである。
これは、もう皆さんも肌で感じていることと思う。
驚くべきは、米・アクシオムという会社だ。1人あたり1500項目もの個人情報を保有しており、米国人の約96%、世界の5億人をカバーし家族の名前やクレジットカードの支払頻度、常備薬まで含まれる。これらの情報がなんとマイク秒単位で競り落とされているのが、ネットの現状だ。
よってグーグル社などにとっては、ユーザーのネット上での行動がもはやコンテンツ化しているのだ。
さて、ここからが更なる問題だ。前述したネズミのような行動をしたら、好奇心の欠如などが当然考えられる。
また新たな革新的なアイデアや出会いも従来より格段に減ることも予想される。
では、それを打破するのは、何なのだろうか?ボク達個々の「思索」である。アンテナの本数を増やすこと。
物事を多面的に捉えることだろう。技術は良い面でも悪い面でもその力は拡大しスピードを増している。
もしかするとPCを開かない日が一日あってもいいかもしれない?
そして、この5月最新のデータでは、世界のウェブブラウザ市場はグーグルのChromeが、マイクロソフトのIEをおさえて初めて世界NO.1となった。
何かと話の豊富な米・アップル社もあるが、ボク個人としてはグーグル社の動向のほうが気になる。
それにしても、ITバブルがはじけても、アクシオム社のように雨後の竹の子ように次から次へと日本の数歩先を行く名も知れない会社がいくつか紹介されていて、シリコンバレーの環境だけでは、決して言い表せない強さを感じた。
最先端のネット社会を知るうえでも参考になる書籍でした。
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