■ 書評 青の物理学 空色の謎をめぐる思索

03371267青の物理学

著者 ピーター・ぺジック
訳者 青木 薫
出版社 岩波書店
発行 2011 2/15


3月11日「東北太平洋沖地震」が起きた。それから約半月が過ぎ、この地球の青空のもと被災地の方々には、一日でも早く安心して日々暮らせるよう祈りつつ、今日はこの書籍をセレクト。

そして、ボクにとって2011第一4半期、BEST MY BOOKとなった。(2011、3月29日現在25冊読了)。

さて、本書の最大のテーマは、「空はなぜ青い?」のか。子どもの頃、疑問に思い、そのまま大人になった方々もきっと多いことと思う。そこではじまる。 Sky in a Bottle
本書の醍醐味は、ミステリー×歴史×人物で、1000年にもおよぶ「空」の謎解き解明劇だ。ある時は、昼の青空を思い浮かべまたある時は夜空を思い浮かべながら読了した。まず、ボクの大好きな色といわれれば、ブルーである。何故ならこの色は落ち着く。しかし古代ローマ人にとって青色は「変族」の色といわれ、また中国では「人間ならざるものを想起させる色」だったそうだ。

ギリシャで、目覚めたこの「空」の色への謎を、アリストテレス、プラトンらが、解明に挑み、そして「天才の中の天才」レオナルド・ダヴィンチもこの難題に挑む。レオナルドは、机上の空論ではなく、いまの「モンテローザ」まで登った。その当時、山とは、「地表にできたいぼ、あばた」といわれ、誰も近寄らなかった。しかしレオナルドは、山から空を眺めたのである。「絵画」の才能も持ちえたレオナルドさえも残念ながら、この難題は解明には至らなかったが、「空」に対して直感的には正しく捉えていた。そして、「人工の空」を最初につくりだしたのだ。

さらには、驚くべき巨人の登場である。「ゲーテ」だ。物理学に疎いボクにとってゲーテといえば「肖像画」のイメージばかりだったが、ゲーテもこの解明に挑んだ。彼は光の理論を展開し結果的には間違っていたのだが、生物・形態学の進化という意味で多大な業績を残す。そして、デカルト、ニュートン、18世紀の最大・最高の数学者「オイラー」まで登場し、シャーロック・ホームズの「ありえないことを一つひとつ消していって最後に残ったものが真実だ」的のストーリーは展開する。さて、この一見この単純な「空はなぜ、青いの?」を解明した人物とは、本書では、アルベルト・アインシュタインとなっている。

ちょっとわき道へそれるが、アインシュタインは、大正時代日本へ訪れた際以下のことを述べた。
「・・・・世界の文化はアジアに始まり、アジアに帰り、それはアジアの高峰、日本に立ち戻らねばならぬ。
我々は、神に感謝する。天が我ら人類に日本という国を造っておいてくれたことを」。(大正11年11/16~40日間滞在)

話がそれてしまったが、1000年におよぶ「空はなぜ青い?」はどうやら「原子論」の先にあるようだ。
何故ならまだ「空=青」は正確には解明されていないのだから・・・
そして、最後にボクは、アインシュタインのことばを信じたいと思う。