■書評 諜報の天才 杉原 千畝
諜報の天才 杉原 千畝

著者 白石 仁章
出版社 新潮選書
発行 2011 02/25
今月の21日に日米安全保障協議委員会、通称:2プラス2が行われ、南シナ海の領有権争いをめぐりベトナムなどと衝突している中国について、クリントン米国務省は中国を名指しで批判した。
2というのは、日本では外務省と防衛省である事は皆さまもご存知のことと思う。
また現在、情報戦はネットを駆使した時代で、「ソニー」が謎のハッカー集団「アノニマス」に攻撃されたのがその象徴ではないだろうか。そこで、今日はこの書籍をセレクト。
「日本のシンドラー」と称され、リトアニア駐在外交官として「六千人の命のヴィザ」を発給したとされる「杉原千畝」の評伝である。改めて本書を読了しボクは見聞が狭いなと実感させられた。
このインテリジェンス・オフィサーを恥ずかしいことに知らなかったのだ。
著者は、学生時代から杉原千畝について20年以上研究し、杉原の幸子夫人の証言さえも本音かどうかその時代背景を考慮、また推測し、外交資料館に勤務する著者ならではの研究成果の集大成とも言える仕上がりではないだろうか。
ところで「インテリジェンス」とういう言葉を念のため広辞苑を利用し調べてみた。
①知能・知性・理知 ②情報 である。
杉原は、①+②を兼ね備えた人物といっても過言ではなくそこにヒューマニズムもプラスされる。
まずはハルビンの総領事館時代から本書は杉原の軌跡を追い、その杉原の語学力と情報収集能力に注目する。その杉原だが、ハルビンからバルト海の湖畔「カウナス」に向かう。この「カウナス」という地が著者によれば、世界的な諜報戦の主要舞台になったという。ボクも本書を読み進めた限りその点は、は間違いないかと思う。
それは、ドイツとソ連をの両国を見る絶好の場所だったのだ。1939年8月突如世界が驚愕する出来事が起こる。ドイツとソ連の不可侵条約締結である。
そこで窮地にたたされた国がある。ポーランドである。
カウナスという地で「領事代理」を務めた杉原は、ユダヤ人を含めポーランドから亡命した多くの人々と交流し、ポーランド系ユダヤ人との交流も「命のヴィザ」の発給もともに情報収集活動の帰結だった。
そこまでは、インテリジェンス・オフィサーとしては、日本人とて群を抜いていた。
しかし、カウナスの地で部下に次のことを漏らしたそうだ。「だれもしなかったことをしたのに・・・こんなに働いているのに・・・」(本書P202抜粋)
この言葉は何を物語ったのか?その後、ドイツ領のケーニヒベルク領事館に移り独ソ開戦を本国(日本)に重要な情報を入手し発信したが、本国では無念にも活かされなった。
その後日本は、ナチ・ドイツの依存を深めわが国において最悪のシナリオに・・・
歴史にifは・・・というが、もし杉原の情報がしっかり本国にて聞き入れられていれば。
情報は、その新鮮さ、正確さ、そしていかに活用されて効力を発揮するのかを、歴史と杉原千畝から学ばせてもらった。
諜報の天才 杉原 千畝

著者 白石 仁章
出版社 新潮選書
発行 2011 02/25
今月の21日に日米安全保障協議委員会、通称:2プラス2が行われ、南シナ海の領有権争いをめぐりベトナムなどと衝突している中国について、クリントン米国務省は中国を名指しで批判した。
2というのは、日本では外務省と防衛省である事は皆さまもご存知のことと思う。
また現在、情報戦はネットを駆使した時代で、「ソニー」が謎のハッカー集団「アノニマス」に攻撃されたのがその象徴ではないだろうか。そこで、今日はこの書籍をセレクト。
「日本のシンドラー」と称され、リトアニア駐在外交官として「六千人の命のヴィザ」を発給したとされる「杉原千畝」の評伝である。改めて本書を読了しボクは見聞が狭いなと実感させられた。
このインテリジェンス・オフィサーを恥ずかしいことに知らなかったのだ。
著者は、学生時代から杉原千畝について20年以上研究し、杉原の幸子夫人の証言さえも本音かどうかその時代背景を考慮、また推測し、外交資料館に勤務する著者ならではの研究成果の集大成とも言える仕上がりではないだろうか。
ところで「インテリジェンス」とういう言葉を念のため広辞苑を利用し調べてみた。
①知能・知性・理知 ②情報 である。
杉原は、①+②を兼ね備えた人物といっても過言ではなくそこにヒューマニズムもプラスされる。
まずはハルビンの総領事館時代から本書は杉原の軌跡を追い、その杉原の語学力と情報収集能力に注目する。その杉原だが、ハルビンからバルト海の湖畔「カウナス」に向かう。この「カウナス」という地が著者によれば、世界的な諜報戦の主要舞台になったという。ボクも本書を読み進めた限りその点は、は間違いないかと思う。
それは、ドイツとソ連をの両国を見る絶好の場所だったのだ。1939年8月突如世界が驚愕する出来事が起こる。ドイツとソ連の不可侵条約締結である。
そこで窮地にたたされた国がある。ポーランドである。
カウナスという地で「領事代理」を務めた杉原は、ユダヤ人を含めポーランドから亡命した多くの人々と交流し、ポーランド系ユダヤ人との交流も「命のヴィザ」の発給もともに情報収集活動の帰結だった。
そこまでは、インテリジェンス・オフィサーとしては、日本人とて群を抜いていた。
しかし、カウナスの地で部下に次のことを漏らしたそうだ。「だれもしなかったことをしたのに・・・こんなに働いているのに・・・」(本書P202抜粋)
この言葉は何を物語ったのか?その後、ドイツ領のケーニヒベルク領事館に移り独ソ開戦を本国(日本)に重要な情報を入手し発信したが、本国では無念にも活かされなった。
その後日本は、ナチ・ドイツの依存を深めわが国において最悪のシナリオに・・・
歴史にifは・・・というが、もし杉原の情報がしっかり本国にて聞き入れられていれば。
情報は、その新鮮さ、正確さ、そしていかに活用されて効力を発揮するのかを、歴史と杉原千畝から学ばせてもらった。